whatchamacallit 「あの何とかというもの」

前回取り上げた newfangled だが、この単語で形容できるような最新式の機器をどう呼べばいいのか、具体的な呼称が思い出せないこともあるはずだ。そうした時に使えそうなのが whatchamacallit である。

・・・というのは無理やりこじつけたものだ。前回 newfangled の実例として、以前TVドラマ「刑事コロンボ」で拾ってメモしたままになっていたセリフを紹介したが、ノートを見ていたら同じく「コロンボ」で見つけた whatchamacallit の例をメモに残していたことにも気づいたので、ついでに取り上げようと思ったのである。

といっても、この言葉に私が最初に出会ったのは「コロンボ」ではない。はるか昔の大学生の時、たまたま初老のアメリカ人女性と話をする機会があったが、彼女は何かの器具だか当時のハイテク機器だったかについて話そうとして名前が浮かばず、uh...uh...といったあとに whatchamacallit と続けたのだった。

その時は、「ワッチャマコーリッ」のように聞こえたのが、「あの何とかと呼ぶ、あれですよ」を意味しているのを何となく感じ取ったのだと思う。whatchamacallit という単語があり、what you may call it を実際の発話ふうに綴ってできたものだと具体的に知ったのはずっと後だったが、それよりも、ちょっと困ったような表情をしたあのおばさんの顔の方が印象深く、今でもありありと目に浮かぶ。

さて今回、学習メモを見返して再発見した「刑事コロンボ」の実例だが、これが出てきたエピソードからは別の言葉を紹介したことはあったものの（→ Dutch uncle, Turkish delight, French leave ～国名のついた表現 (刑事コロンボ「殺しの序曲」）） whatchamacallit は取り上げていなかった。

この単語は殺人のトリックに使われた仕掛けをコロンボ警部が見破る場面に出てくるが、LPレコードのプレーヤーなどを使った複雑なもので、文字だけ書いても映像がなければ何のことかわからないとその時は考えたからだろう。しかしせっかくなので、以下に書いておこう。

- Columbo: It glides across the record and it goes to this point right here. Then it goes back again, past this point here, right here. And then it goes all the way back again and it rests on this whatchamacallit. Now, I want you to notice this, sir. Here on this whatchamacallit. Right here. Funny little scratches. Here and here.
(Columbo: The Bye-Bye Sky-High IQ Murder Case)

ということで、実例としてはあまり良いものではないので、英語圏の辞書から説明や用例を抜き書きしよう。モノだけでなく人、また、本当は知っているのに知らないふりをしてとぼける場合にも使えることがわかる。

- Used to refer to a person or thing whose name one cannot recall, does not know, or does not wish to specify.
‘she wanted me to get the whatchamacallit from her bureau’
(Oxford Dictionaries)

- I can't find the whatchamacallit that holds the door open.
I need one of those whatchamacallits to connect the two patch cords.
(Merriam-Webster.com)

また類語として what's its name からできた whatsit や whatsis、また
thingamabob、thingumajig、thingummy、thingamy などが辞書に載っている。これらは舌を噛みそうなものばかりだし、個人的な体験もあるので、私が自分で使うならやっぱり「ワッチャマコーリッ」だろうな。

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