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2017年の英単語大賞は「フェイクニュース」 (fake news) [Word of the Year]

英語に関係する団体がそれぞれ選んでいる "Word of the Year" は毎年この時期の私の愉しみだが、注目度の高い「アメリカ英語学会」の選定が先日発表された。大賞になったのは、やはりというべきか、fake news だった。

「今年の英単語」を選んでいる団体のうち、英米の辞書出版社はそれぞれのサイトでの検索数を参考にしているのが多いのに対し、この The American Dialect Society は会員が検討して投票で決めるのが特徴だ。

今回はトランプ大統領に関わる言葉が選ばれる可能性が高いと思っていたが、その代表格ともいえる fake news に決まったのは(前回が dumpster fire という、非英語ネイティブにはいささかなじみのない単語だったこともあり)大いにうなづけると思った一方で、何だか拍子抜けもしてしまった。

しかし公式サイトにある広報文を読み進めたら、さすがは複数ある Word of the Year 選定の本家とも目される「アメリカ英語学会」、そこに書かれていた説明には「なるほど」と思わされた。

- Defined in two ways, “disinformation or falsehoods presented as real news” and “actual news that is claimed to be untrue,” fake news was selected as best representing the public discourse and preoccupations of the past year.
https://www.americandialect.org/fake-news-is-2017-american-dialect-society-word-of-the-year

そう、fake news は、実は「フェイク」ではない、れっきとした事実についても使われるようになってしまった。単に流行った言葉だからというだけでなく、そんなオーウェル的世界の到来を象徴するものとして選定された。そうした見識というか、警鐘を感じ取りたくなる。

実は fake news は去年の選定でも俎上にのぼっていたそうだ。しかし上記のような”意味の拡大”があったからこそ、「2017年の単語」にふさわしいものとなった。そして、その大きな要因となったのがトランプ大統領だったと広報文は続ける。

- Fake news was first considered by the American Dialect Society a year ago in the voting for the 2016 Word of the Year, but at the time its meaning was restricted to fictional or embellished stories presented as authentic news, disseminated for financial gain or for propagandistic purposes.

In 2017, however, the meaning of fake news shifted and expanded, in large part due to its repeated use by President Donald Trump.
(ibid.)

より長いPDF版の広報文もサイトにあるが、それによると「今年の単語」の第2位となったのは #MeToo で、女性がネットなどでセクハラを告発するハッシュタグつきの言葉だ。去年の後半からとりわけ話題になったと思うが、これは35票。これに対し fake news はトランプ大統領が通年で濫発したこともあってか196票を獲得し、ダントツの1位だった。
https://www.americandialect.org/wp-content/uploads/2017-Word-of-the-Year-PRESS-RELEASE.pdf

その他の Word of the Year 大賞の候補や、大賞の下に設けられた”部門賞”に選ばれた単語の中には、以前このブログで取り上げたものもある。

1年近く前に書いた alternative facts (→こちら)が12票で、第4位。また、一時話題を集めた謎の言葉 covfefe (→こちら) は、WTF Word of the Year (WTF = what the fuck: used as an expression of incredulity or annoyance) という部門の第1位だった。

どちらもトランプ関連の言葉であるのは、当然と見るべきか、悲しむべきか。


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タグ:トランプ
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