make (romantic) overtures 「口説く」「言い寄る」 (映画「ブレードランナー」) [映画・ドラマと英語]
引き続き、SF映画の金字塔「ブレードランナー」のメイキング本から拾った表現を取り上げる。私は overture という単語をまず「序曲」の意味で覚え、複数形で「打診、申し入れ」となることを後に知ったが、今回読んだ本には、後者を男女関係に使った場合の実例が出てきた。
ヒロインを演じたショーン・ヤング Sean Young のプロフィールを紹介しているくだりである。
ヤングは女優歴のごく初めにこの映画に出て注目を集め、その後は順風満帆かと思われた。しかしさまざまなトラブルを起こすようになり、そちらの方ばかりが話題となってしまった。
それはともかく、下記の引用にある let go (from) はここでは「役を降ろされる」といった意味だろう。Tess Trueheart とはウォーレン・ベイティが監督・主演した映画「ディック・トレイシー」の登場人物で、主人公の恋人である。
- Young was again let go from a major part in 1990, after being cast as “Tess Trueheart” in star/director Warren Beatty’s Dick Tracy (Young claimed she was fired for resisting Beatty’s romantic overtures).
(Future Noir Revised & Updated Edition: The Making of Blade Runner by Paul M. Sammon)
男女関係での overtures は、文脈からわかるだろうということか、明記していない辞書が意外と多かったが、
- (交際したいという)申し込み
(ランダムハウス英和大辞典)
- (異性への)口説き
(ルミナス英和辞典)
- (C usually plural) a communication made to someone in order to offer something:
overtures of friendship.
Neither side in the conflict seems willing to make peace overtures.
informal So he's been making overtures (= showing a sexual interest), has he?
(Cambridge Advanced Learner's Dictionary)
- If you make overtures to someone, you behave in a friendly or romantic towards them.
(Collins English Dictionary)
引用した実例や上記の辞書の記述にある romantic は日本語の「ロマンチック」「ロマンティック」とは違い、多分に性的な意味があることは、このブログでも以前取り上げた通りである。
つまりヤングは、ベイティから「オレとやらないか?」と持ちかけられ(実際の言葉が具体的にどうだったかは不明だが、意図は明白だっただろう)、それをはねつけたためテスの役から降ろされた、誘いを断ったことに対するイジメだった、と言っているわけである。
ベイティは女に手が早い俳優として有名というか悪名高かったが、いま盛んになっている#MeTooのセクハラ告発を思わせるものがある。ヤングとしては当然の主張だったのだろうが、自分が起こした暴力行為や奇矯な行動で「お騒がせ女優」のレッテルを貼られていただけに、この言い分の受け取られ方でも損をしていたのではないだろうか。
それにしても「ブレードランナー」でのヤングは、演じたキャラクター「レイチェル」のフィルム・ノワール風のミステリアスさともあいまってか、息を飲むような美しさだ。私も最初に観た三十数年前、今後どんな女優になるのだろうと楽しみに思っただけに、その後は残念だった。
去年公開された続編の「ブレードランナー2049」Blade Runner 2049 では同じレイチェルとして、コンピューターの映像加工によって第一作と変わらぬ姿で”出演”したが、私としては(ハリソン・フォードの再登場とあわせて)意味があるとは思えず、残念に思った。もちろんこれはショーン・ヤング本人ではなく、制作陣にかかわる話ではあるが。
過去の参考記事:
・romantic は「ロマンチック」か?
・続・romantic は「ロマンチック」か?
・get together romantically 「深い関係になる」 (刑事コロンボ「死者の身代金」)
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ヒロインを演じたショーン・ヤング Sean Young のプロフィールを紹介しているくだりである。
ヤングは女優歴のごく初めにこの映画に出て注目を集め、その後は順風満帆かと思われた。しかしさまざまなトラブルを起こすようになり、そちらの方ばかりが話題となってしまった。
それはともかく、下記の引用にある let go (from) はここでは「役を降ろされる」といった意味だろう。Tess Trueheart とはウォーレン・ベイティが監督・主演した映画「ディック・トレイシー」の登場人物で、主人公の恋人である。
- Young was again let go from a major part in 1990, after being cast as “Tess Trueheart” in star/director Warren Beatty’s Dick Tracy (Young claimed she was fired for resisting Beatty’s romantic overtures).
(Future Noir Revised & Updated Edition: The Making of Blade Runner by Paul M. Sammon)
男女関係での overtures は、文脈からわかるだろうということか、明記していない辞書が意外と多かったが、
- (交際したいという)申し込み
(ランダムハウス英和大辞典)
- (異性への)口説き
(ルミナス英和辞典)
- (C usually plural) a communication made to someone in order to offer something:
overtures of friendship.
Neither side in the conflict seems willing to make peace overtures.
informal So he's been making overtures (= showing a sexual interest), has he?
(Cambridge Advanced Learner's Dictionary)
- If you make overtures to someone, you behave in a friendly or romantic towards them.
(Collins English Dictionary)
引用した実例や上記の辞書の記述にある romantic は日本語の「ロマンチック」「ロマンティック」とは違い、多分に性的な意味があることは、このブログでも以前取り上げた通りである。
つまりヤングは、ベイティから「オレとやらないか?」と持ちかけられ(実際の言葉が具体的にどうだったかは不明だが、意図は明白だっただろう)、それをはねつけたためテスの役から降ろされた、誘いを断ったことに対するイジメだった、と言っているわけである。
ベイティは女に手が早い俳優として有名というか悪名高かったが、いま盛んになっている#MeTooのセクハラ告発を思わせるものがある。ヤングとしては当然の主張だったのだろうが、自分が起こした暴力行為や奇矯な行動で「お騒がせ女優」のレッテルを貼られていただけに、この言い分の受け取られ方でも損をしていたのではないだろうか。
それにしても「ブレードランナー」でのヤングは、演じたキャラクター「レイチェル」のフィルム・ノワール風のミステリアスさともあいまってか、息を飲むような美しさだ。私も最初に観た三十数年前、今後どんな女優になるのだろうと楽しみに思っただけに、その後は残念だった。
去年公開された続編の「ブレードランナー2049」Blade Runner 2049 では同じレイチェルとして、コンピューターの映像加工によって第一作と変わらぬ姿で”出演”したが、私としては(ハリソン・フォードの再登場とあわせて)意味があるとは思えず、残念に思った。もちろんこれはショーン・ヤング本人ではなく、制作陣にかかわる話ではあるが。
過去の参考記事:
・romantic は「ロマンチック」か?
・続・romantic は「ロマンチック」か?
・get together romantically 「深い関係になる」 (刑事コロンボ「死者の身代金」)
Future Noir Revised & Updated Edition: The Making of Blade Runner
- 作者: Paul M. Sammon
- 出版社/メーカー: Dey Street Books
- 発売日: 2017/09/12
- メディア: ペーパーバック
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タグ:SF
2018-01-23 19:35
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