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parting shot 「捨てぜりふ」 (トランプ、ティラーソン長官をクビに) [アメリカ政治]

アメリカのティラーソン国務長官がクビになったというニュースには驚いたが、これを報じるBBCの記事で parting shot という表現が使われていた。「捨て台詞」というような意味である。

BBCのトップページで、この記事のタイトルの下にある見出し的な文で使われていた。

- Sacked Tillerson issues Russia warning

The secretary of state fired by Mr Trump warns of Russia's "troubling behavior" as a parting shot.

突然の解任、そして以前からトランプ大統領との不仲がささやかれていたことから、この言葉の印象がより強く感じられる。

英語圏の辞書から説明と例文を引用しよう。

- a final critical comment
As her parting shot, she said that the other candidate simply did not understand the ordinary citizen.
She took a parting shot before leaving.
(Merriam-Webster.com)

- If someone makes a parting shot, they make an unpleasant or forceful remark at the end of a conversation, and then leave so that no-one has the chance to reply.
He turned to face her for his parting shot. 'You're one coldhearted woman, you know that?'
(COBUILD Advanced English Dictionary)

- a threat, insult, condemnation, sarcastic retort, or the like, uttered upon leaving.
First recorded in 1890-95; perhaps by folk etymology from Parthian shot
(Dictionary.com)

3つ目の Dictionary.com は由来についての記述で Parthian shot と書いている。辞書を引くと、Parthian は学校の世界史で習った古代の国パルティア Parthia (今のイラン北東部)の形容詞で、パルティア騎兵の戦法である「逃げながら後方に矢を射る」ことも指すそうだ。これを shot につけるとこれまた「捨てぜりふ」を指すという。おもしろい。

なお冒頭に書いたBBCの記事だが、トップページの見出しをクリックして出てくる全文の中では parting shot は使われていなかった。はじめの部分は次のようになっている。

- Sacked US Secretary of State Rex Tillerson has warned of Russia's "troubling behaviour and actions" in a parting statement after being fired by President Donald Trump.
He pointedly failed to thank Mr Trump or praise his policies.
("Rex Tillerson: Secretary of state fired by Trump in Russia warning" BBC, 14 March 2018)

parting statement なら単に「去るに当たっての発言、声明」ということだろうが、次の文の He pointedly failed to...は「トランプへの謝意ははっきりとは述べなかった」という意味になるはずなので、やはり両者の仲は悪かったことがうかがえる。

トランプはトランプで、ティラーソンの更迭は会見どころか文書での発表ですらなく、お得意のツイッターを通じてだった。型破りには慣れてしまったとはいえ、やはり驚きだ。

ティラーソンはトランプと反りが合わなかっただけでなく、国務省の職員からも不評だったといわれていた。数か月後の米朝首脳会談に向けて事前準備を進めるにあたって、融和的な態度を取り続けているティラーソンでは北朝鮮に足元を見られるという懸念もあったという。そうだとすれば、突然に見える解任も、ちゃんとした計算に基づくものだったのだろうか?

なお日本語表記の「ティラーソン」は、多くの人が「ラー」の部分にアクセントを置くだろうが、原語の強勢は最初の /i/ に置かれるようだ(あえてカタカナにするなら「ティラスン」とした方が近いだろう)。outgoing secretary となった彼の名前を聞く機会は減っていくだろうが、英語で話すときは日本語風にしないよう注意が必要だ。


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タグ:トランプ
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