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My ears are burning. ~英語で噂をするとクシャミではなく耳がほてる [英語文化のトリビア]

溜まっていた録画をこの週末に見たが、そのひとつ、お笑いクイズ番組「チコちゃんに叱られる!」で、「くしゃみをすると『誰かに噂されている』っていうのはなぜ?」という出題があった。

確か英語にも「誰かが噂をしている」に当たる表現があったはずだが、思い出せない。ちゃんと学んでいなかったわけで、チコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねえよ!」と叱られそうだ。

ノドに刺さって抜けない小骨のようで、連休中ずっと気持ちが悪かったが、意を決して調べ、見つけることができた。One's ears are burning. であった。

実際にこの表現を聞いたことはなく、ましてや日本に暮らしてふだんは日本語という生活では自分から使ってみる機会もない。これでは身につくはずもない、と言い訳をしてみる。

英語圏の辞書から引用しよう。

- humorous used to say that someone has the feeling that other people are talking about him or her
I bet his ears are burning right now.
"We were talking about you last night." "That explains why I felt my ears burning."
(Merriam-Webster.com)

日本では「くしゃみ」だが、英語圏では「耳が火照る」のがおもしろい。しかし、なぜこの表現が生まれたのか、由来を書いた辞書が見当たらない。

ウェブでさらに調べると、次のような記述があった。

- This idiom originates from the ancient Romans who believed that different feelings in the body were signs of current or future events. They thought that a ringing or burning feeling in the ears was a sign that the person was being talked about. They also believed that a burning left ear was a symbol of evil (people were saying bad things about them) and a burning right ear was a symbol of praise (people were saying nice things about them).
https://www.bloomsbury-international.com/en/student-ezone/idiom-of-the-week/list-of-itioms/1235-my-ears-are-burning.html

ということで、古代ローマにさかのぼることがわかった。であれば英語以外のヨーロッパ言語でも同じような表現があるのではないだろうか。現代の英語は複数形になっているが、ローマの昔は右耳なら良い、左耳なら悪いウワサだった、というのもおもしろい。やっぱり「右」の方が優位なんだな。

さらに他の記事を見ると、大プリニウス Pliny の著書「博物誌」Natural History にこうした言及があるのだそうな。

そうこうしているうちに、さらにおもしろい記事を見つけた。噂を「くしゃみ」などと結びつける国が他にもあるという。少し長いが引用する(読みやすくするため原文に改行を加えた)。

- After talking about an absent friend, the Estonian said, ‘He must be coughing now’. Then the Bangladeshi added, ‘Yes, he must be sneezing’.
I was puzzled. Why should our absent friend be coughing or sneezing? As far as I was aware, he wasn’t ill.
And then the penny dropped. What they had both done, and understood each other perfectly when doing it, was to adapt the phrase of their own culture to the international, English conversation, to suggest that somewhere the friend must have felt that we were talking about him.
The British equivalent is: his ears must be burning.
https://wordoriginstories.wordpress.com/2014/04/05/ears-are-burning/

「噂されている」と思った時、国や文化によってどのような反応するのか。これはちょっとした研究テーマになるのではないだろうか、というより、きっとすでに研究した人がいて、私が知らないだけに違いない。ご存知の方がいたら教えていただければ幸いである。

なお「チコちゃん」の番組では、くしゃみをした時にどういうか、外国人に街頭インタビューをして紹介していた。英語で Bless you. というのはよく知られているだろうが、ある意味それと通じるような考え方が日本語の「くしゃみ」の背後にあることがインタビューに続いて説明されていて、これまた驚いた。

ということで、英語表現がわからずモヤモヤして始まったが、終わってみると新しいことをいろいろ知ることができて充実した連休だった。これもすべては5歳の「チコちゃん」のおかげで、感謝しなくちゃいけないな。

参考・「くしゃみ」関係の過去の記事:
Bless you と Gesundheit
not to be sneeze at と Bless you
「アメリカがくしゃみをすれば日本はかぜをひく」
「はくしょん」と achoo
光を見て出るくしゃみ (photic sneeze reflex, achoo syndrome)


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Kawada

「チコちゃんに叱られる Don’t sleep through life!」は今や有名になりましたが、この英語の言い回しについて、Tempus fugit様はどう思われますでしょうか。彼女(チコちゃん)の「ボーっと生きてんじゃねーよ!」を英訳したものと思われます。
おそらく彼女は、寝ていようが起きていようが、何も考えず「ボーっと生きて」いれば “sleep through”だと認識しているのだと考えましたが、いかがでしょうか。
by Kawada (2018-09-25 16:40) 

tempus fugit

これは明らかにチコちゃんの決めゼリフの意訳でしょうね。人生をずっと眠って過ごんじゃねえ!ということでしょうか。番組のタイトルなので人目を引くことが大切、あまり深く考えなくてもいいように思います。
by tempus fugit (2018-09-26 20:51) 

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