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selficide ~自撮り中の事故死にご注意! [辞書に載っていない表現]

この連休に英文のサイトを眺めていたら、selfie 「自撮り」が原因で起きた事故死をめぐる統計調査の記事があった。その中に selficide という造語が出てきたので取り上げてみよう。

この調査に気がついたのはBBCのサイトで、"Selfie deaths: 259 people reported dead seeking the perfect picture" という今月4日付けの記事だ。2011年から2017年までに全世界で起きた自撮り中の事故死は、報道されただけであわせて137件、計259人が死亡したという。

短い記事でコンパクトにまとまっているが、興味深いテーマなのでもうちょっと情報が知りたい。そう思ってネットで調べると、他メディアの記事だけでなく、調査にあたった団体によるペーパーもアップされていた。

その中にあったのが selficide である。BBCの記事では selfie death とか selfie-related death と書かれていた。

- ...the study analyzed news articles from October 2011 to November 2017 and found there have been 259 reported deaths—dubbed selficides in one part of the article—resulting from that never-ending thirst for Instagram likes.
("Hundreds of People Have Died Taking Selfies, Study Says" Vice, Oct. 2 2018)

調査を行ったグループが selficide を使っていたということなので、 "Selfies: A boon or bane?" という題でウェブに載っているペーパーを見ると、図表の説明に

- Figure 4 Tree map showing selficides in males and females
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6131996/

として使われていた。原典ではこれだけで、そっけない形だったのがちょっと残念だ。

それはともかく、この語はいうまでもなく、selfie に接尾辞の -cide 「殺すこと・もの」をつけて作ったものだ。

こうした語には pesticide や insecticide があるが、よく目にするのは suicide だろう。脱線だが、この単語は /suːəsaɪd/ および /suːɪsaɪd/ と微妙に異なる2つの発音が辞書に載っている(前者がアメリカ風、後者がイギリス式らしい)。そのためかカタカナ語でも「スーサイド」や「スイサイド」と表記に揺れがある。簡単なようでちょっとややこしい。

本題に戻ると、「自撮り死」が6年間で259人というのは少ないという印象もあるが、あくまで報道された事故を集めて分析したものなので、実際の発生はもっと多いはずだと調査グループも書いている。そして件数は年々増加しているそうだ。

このように限られたデータではあるが、国別では死者が多い順にインド、ロシア、アメリカ、パキスタン。具体的な原因は、海や川での水死、列車にはねられるなど交通機関にからむ事故、そして転落死、の順だったという。

そして対策として調査グループが提唱しているのが、「セルフィー禁止区域を危険な観光スポットに設けよ」というものだ。

- The study's authors suggest that "no selfie zones" be established in tourist areas, especially on mountain peaks, near bodies of water and on top of tall buildings.
("More than 250 people around the world have died taking selfies since 2011" CNN Oct. 3, 2018)

しかし、いくら自撮りをご法度にしても、常時そうした場所に監視員を置いて見張るのは無理だろう。実現性や実効性はいかほどのものか、と思ってしまう。

それにしても、今回の調査結果を伝える記事の多くに、とんでもなく危ない状態で自撮りをしている写真がついている。うれしそうに笑っている人もいる。

私は以前書いたようにナイアガラの滝ですら怖いと思ったので、作り笑いすら浮かべられない、というか、事故にあうより先に心臓が停まってしまうだろう。写真が合成でないとしたら、世の中には想像を絶するような肝っ玉を持つ人がいるものだ。

そして、こうした写真は記事の eye-catcher として仕方がないにせよ、「よい子はマネしないようにしましょう」ではないが、"Don't try it yourself." とか何とか書き添えたほうがいいのでは、とも思ってしまったほどだった。


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