SSブログ

追う者の強み ~ leapfrog #2 [単語・表現]

前回に続いて、手製の英語学習ノートを見返していて目にとまった単語について書く。leapfrog は数年前、「馬跳び」「軍隊の交互前進」という意味で取り上げたことがあり(→ こちら)、その際あわせて、「追い抜く」「一気に飛躍する」という意味もあると書いていた。今回は、後者についての追記である。

まず、ノートにメモしていた実例だが、ずいぶん前のもので、アメリカのブッシュ大統領(43代の方)のもとで補佐官や国務長官をつとめたコンドリーザ・ライス氏の伝記で拾っていた。

- She would go into the number-two power spot, leapfrogging the usual positions of chair and subsequently dean of a department.
(Condi by Antonia Felix)

もうこの本は持っておらず、これだけでは何のことか私自身もわからなくなっているが、ウェブで検索し Google Books で表示された該当部分を再読したところ、1993年にスタンフォード大学の教授だったライス氏が大学の provost (辞書によっては「学長」となっているが、ここにあるようにスタンフォードではナンバー2で、president の下)に就任したことを述べたものだった。

彼女はこの職に就いた初の黒人・初の女性、かつ歴代最年少(当時38歳)で、しかも dean of a department (学部長)の経験もなく、いきなりの抜擢だった。これを leapfrog で表現しているわけである。

また、leapfrog には次のような意味もある。

若い頃、途上国に出張・滞在する機会が何度かあったが、当時日本ではまだ携帯電話が普及していなかった(今では信じられないが、そうだったのだ)。

しかし、そうした国では多くの人が携帯を使っていた。まだスマホがない時代だったので、いわゆるガラケーではあったが。固定電話のつながりにくさとの落差にも驚いたが、何よりも「日本よりも進んでいるじゃないか!」と目を見張ったものである。

固定回線が不十分なので整備を進める、というのではなく、むしろそちらが整備されていないからこそ、一気に携帯を導入してしまえということになる。日本では電話のない家は珍しく、公衆電話もあちこちにあったので(そういえば、テレホンカードなんてものがあったな)、かえって携帯の普及に時間がかかった。

こうしたことが、leapfrog を使って表現できる。なお2つ目の例は国連機関のリポートからだが、タイトルにことわざの Look before you leap.(「転ばぬ先の杖」)を使って leap つながりで目を引くものにしている。

- Cell phones are an example of what is sometimes now called leapfrog technology, a product that allows developing nations the benefits of a reliable and extensive communications network without the heavy investment in fixed-line phone infrastructure.
("Cell Phones Allow Countries to 'Leapfrog' Technology" VOA News November 01, 2009)

- Discussions of the developmental dimension of frontier technologies, particularly digital technologies, often highlight the possibility of “leapfrogging”, the concept of “bypassing intermediate stages of technology through which countries have historically passed during the development process”.2
("Leapfrogging: Look before you leap" UNCTAD No.71 December 2018)

次は、日本語版「ウィキペディア」の記述である。

- リープフロッグ型発展(リープフロッグがたはってん、英:Leapfrogging)とは、既存の社会インフラが整備されていない新興国において、新しいサービス等が先進国が歩んできた技術進展を飛び越えて一気に広まること。リープフロッグ現象ともいう。一例として、多くの新興国において固定電話の普及を待たずに携帯電話およびスマートフォンが急速に普及したことが挙げられる。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/リープフロッグ型発展)

以下は余談だが、日本はハイテクの国というイメージがある一方で、最新の技術を生かさずに前時代的な慣行から抜けられないところがあるのは否めないと思う。

新型コロナウイルスの関連でも、書類にハンコを押すだけのために出社せざるを得ないということが起きているというし、他の国ですでに導入されている追跡アプリは検討もされていないだろう。

もちろん、これは技術的な問題というより、政治的・社会的、あるいは文化的な理由や背景によるところが大きいと思うが、だからこそ、国難の際に慣例にとらわれて思い切った措置が取れないままだと、一変することが確実の「ポスト・コロナ」の世界で、日本は遅れを取る一方になるのではないかと危惧してしまう。


にほんブログ村 英語ブログへ
にほんブログ村←参加中です

Condi: The Condoleezza Rice Story

Condi: The Condoleezza Rice Story

  • 作者: Felix, Antonia
  • 出版社/メーカー: Pocket
  • 発売日: 2004/02/01
  • メディア: マスマーケット


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:資格・学び

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
にほんブログ村 英語ブログへ
にほんブログ村← 参加中です
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...