rule the roost「実権を握る」「牛耳る」(カズオ・イシグロ「クララとお日さま」) [読書と英語]
カズオ・イシグロの最新作 Klara and the Sun (「クララとお日さま」)で拾った言葉を今回も取り上げたい。rule the roost は自分から使うイディオムとしては難度が高いだろうが、辞書を引くと「(集団を)支配する」という意味だという。
イシグロの作品では、2か所に出てきた。前回もそうだったが、一度だけだと読み飛ばしてしまう表現も、短い間隔で2回以上出てくると、「あれ、これさっきも出てきたな?」と記憶に留まる(場合もある)ものだ。
- 'I must say, darling, you’ve developed a tendency these days to rule the roost. It’s most irritating.'
(Klara and the Sun by Kazuo Ishiguro)
- ‘There you go again, darling. Trying to rule the roost. You must stop it.’
(ibid.)
roost は「(鳥の)とまり木」「とまり木にとまっている一群の鳥」「(鳥の)ねぐら」「人が休む場所」といった意味がある。
鳥の一団にせよ、鳥のすみかにせよ、それを rule するということで「牛耳る」ということか、なるほど・・・と納得したのだが、さらに調べると、実はそうではないらしいことがわかった。
英語圏の辞書から引用しよう。
- This expression originated in the 15th century as rule the roast, which was either a corruption of rooster or alluded to the person who was in charge of the roast and thus ran the kitchen.
(中略)
In the mid-1700s roost began to compete with roast, and in the 1900s roost displaced roast altogether.
(American Heritage Dictionary of Idioms)
- The original expression was rule the roast, which was common from the mid 16th century onwards. Although none of the early examples of its use shed any light on its source, we can surmise that it originally referred to someone being the most important person at a banquet or feast. Rule the roost, found from the mid 18th century, has now replaced the earlier version.
(Farlex Partner Idioms Dictionary)
つまり、もともとは rule the roast であり、ロースト肉を扱う人、あるいは供される人から、場を支配する重要人物という意味が生まれていったらしい。
そしてしだいに roast が roost に置き換わっていったという。どうしてそうなったかの説明は書かれいないが、rule と音を揃える力学が働いたのではと素人なりに想像した。
ということで、自分では使えそうにないイディオムを拾ったことをきっかけに、英語の知識を増やした気分にしばし浸ることができた。その知識もあんまり実用に役立たないものではあるが。
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イシグロの作品では、2か所に出てきた。前回もそうだったが、一度だけだと読み飛ばしてしまう表現も、短い間隔で2回以上出てくると、「あれ、これさっきも出てきたな?」と記憶に留まる(場合もある)ものだ。
- 'I must say, darling, you’ve developed a tendency these days to rule the roost. It’s most irritating.'
(Klara and the Sun by Kazuo Ishiguro)
- ‘There you go again, darling. Trying to rule the roost. You must stop it.’
(ibid.)
roost は「(鳥の)とまり木」「とまり木にとまっている一群の鳥」「(鳥の)ねぐら」「人が休む場所」といった意味がある。
鳥の一団にせよ、鳥のすみかにせよ、それを rule するということで「牛耳る」ということか、なるほど・・・と納得したのだが、さらに調べると、実はそうではないらしいことがわかった。
英語圏の辞書から引用しよう。
- This expression originated in the 15th century as rule the roast, which was either a corruption of rooster or alluded to the person who was in charge of the roast and thus ran the kitchen.
(中略)
In the mid-1700s roost began to compete with roast, and in the 1900s roost displaced roast altogether.
(American Heritage Dictionary of Idioms)
- The original expression was rule the roast, which was common from the mid 16th century onwards. Although none of the early examples of its use shed any light on its source, we can surmise that it originally referred to someone being the most important person at a banquet or feast. Rule the roost, found from the mid 18th century, has now replaced the earlier version.
(Farlex Partner Idioms Dictionary)
つまり、もともとは rule the roast であり、ロースト肉を扱う人、あるいは供される人から、場を支配する重要人物という意味が生まれていったらしい。
そしてしだいに roast が roost に置き換わっていったという。どうしてそうなったかの説明は書かれいないが、rule と音を揃える力学が働いたのではと素人なりに想像した。
ということで、自分では使えそうにないイディオムを拾ったことをきっかけに、英語の知識を増やした気分にしばし浸ることができた。その知識もあんまり実用に役立たないものではあるが。
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タグ:カズオ・イシグロ
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