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He is a deep one. 「何を考えているのかわからないヤツ」 [注意したい単語・意外な意味]

週末、お気に入りの映画「ブレードランナー」 Blade Runner を久しぶりに観た。このブログでも何度か取り上げている名作だ。

ディスクには特典映像として未公開シーンが収録されていて、今回も楽しんだ。この作品のファンとしては、どうして最終的にカットされたのか、もったいない、と思う映像が目白押しだったが、その場面のひとつに、次のようなセリフが出てくる。

ハリソン・フォード演じる主人公の刑事デッカードが、負傷した同僚と病室で話をしているところを、離れた場所にいる上司と別の同僚がひそかにモニターで監視しているという場面である。

- Deckard is a deep one.

これだけでは作品を知らない人には何のことかわからないだろうが、ともかくも、そこで別の同僚が上司に言った言葉がこれである。

「深い」は、「深みがある」「奥が深い」「深遠な」というようにプラスのイメージで使われることがあるが、英語でも a deep insight や a deep thinker はそうした意味だ。名詞を使った a person of depth や have depth も同じである。

しかし a deep one も同様に「奥が深い」人物かと思うと、こちらはちょっと違い、「腹の底が見えない」「得体が知れない」「謎めいた」人物であることを指す。この言い回しや意味を明確に載せていない英和辞典もあるので注意が必要だろう。

もちろん記載している辞書もあり、それには「一癖も二癖もあるやつ」「食えないやつ」といった訳語もつけられていて、うまいなと思う。「腹黒い」「ずるい」「狡猾な」という訳語もあったが、個人的にはちょっと具体的すぎる感じがして、少なくとも「ブレードランナー」のような状況には似合わないだろう。

英語圏の辞書にある説明や用例を引用しよう。3つめの「ロングマン」には serious and intelligent とあるので、不可解であったとしても「何をしでかすかわからない単細胞のおバカさん」には使わないということだろう。その点では「奥の深い」という deep のニュアンスは保っているといえるように思う。

- (of a person) unpredictable and secretive:
that Thomas is a deep one.
(Oxford Dictionary of English)

- if a person is deep, they hide their real feelings and opinions:
She's always been a deep one, trusting no one.
(OALD)

- a deep person is serious and intelligent, but is hard to know well:
Henry has always been a deep one. He keeps his views to himself.
(LDOCD)

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