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gaslighting~ウェブスター版「2022年の英単語」 [Word of the Year]

毎年恒例の Word of the Year の時期が今年もやってきた。選定をしている団体のうち、アメリカの代表的な辞書「メリアム・ウェブスター」が先ごろ発表した「今年の英単語」は gaslighting だった。

これは新語ではなく、私も5年前にこのブログで gaslight の形で取り上げたことがあるが(→こちら)、ウェブスター社のサイトにある発表文によると、当初の意味を広げて使われるようになってきているという。

発表文は、次のように始まっている。

- In this age of misinformation—of “fake news,” conspiracy theories, Twitter trolls, and deepfakes—gaslighting has emerged as a word for our time.
("Word of the Year 2022"
Merriam-Webster, November 28, 2022)

この言葉は演劇およびその映画のタイトル(邦題は「ガス燈」)に由来し、「わざと誤った情報を提示し、被害者が自身の記憶、知覚、正気を疑うよう仕向ける手法」(日本語版「ウィキペディア」)として使われるようになった、と5年前のエントリに書いた。

ウェブスターの発表文も、そうした記述が続くが、そのあとに、

- But in recent years, we have seen the meaning of gaslighting refer also to something simpler and broader: “the act or practice of grossly misleading someone, especially for a personal advantage.” In this use, the word is at home with other terms relating to modern forms of deception and manipulation, such as fake news, deepfake, and artificial intelligence.
(ibid.)

と書いている。「他人を欺いて自分の利益に結びつけようとする」という意味で広く使う単語となってきた、というのが近年の傾向ということになる。

また gaslighting は類語と比べて、

- Unlike lying, which tends to be between individuals, and fraud, which tends to involve organizations, gaslighting applies in both personal and political contexts.
(ibid.)

という特徴もあるという。

gaslighting が多用されるようになった背景としてウェブスターは、人をだまし惑わすことに利用できる伝達手段やテクノロジーが増えたことをあげている。

人間は新しい技術を生み出すことで常に進歩を目指すが、それが常に前向きに活用されるとは限らない。悲しいが、それも人間と社会の現実ということになるのだろう。

なおウェブスターの発表記事は、今年このほかに検索の多かった単語をあげているが、その中には、oligarch (ロシアの「オリガルヒ」)、OmicronLGBTQIAQueen Consort(チャールズ国王カミラ妃の称号)など、日本で英語に触れていても目に留まった言葉も含まれている。

過去の関連記事:
トランプに使う俗語 gaslight とバーグマンの名画「ガス燈」との意外な関係

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