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earring は「イヤリング」だけとは限らない [注意したい単語・意外な意味]

紙の辞書をパラパラめくっていると思わぬ発見をすることがある。AI時代になっても私が一覧性で優れる冊子版を手放せない理由のひとつだ。この週末もそんな偶然の気づきがあったので、すでにご存じの方には笑われると思いつつ、ちょっと取り上げてみたい。

私のお気に入りの辞典のひとつである「スーパー・アンカー英和辞典(第5版)」のページを何気なく繰っていたら、何の変哲もない(はずの)単語である earring の次の記述が目にとまった。

- (通例~s)イヤリング、耳飾り、ピアス

これを見てはっとなったのは、「ピアス」である。

earring は「イヤリング」だけでなく、「ピアス」も指すのか。一瞬遅れて、そういえば「ピアス」を英語で何というのか、考えたこともなかったことにも気づいた。私は男だし、若かったのも遠い昔の話・・・という言い訳も思い浮かんだが、長いことを英語を学んでいても知らないことは尽きないものだ。

ただ、所有する電子辞書を引いてみたら、earring に「ピアス」の意味を載せていない英和辞典がけっこうあったので、少しばかりの慰めになった。

逆に、さらにていねいな説明を載せているものとして、「ウィズダム英和辞典」は、

- (しばしば~s)イヤリング、耳飾り(!ピアスも含む;→pierce 動他2)

と、注意をうながす!という記号をつけて記述しており、参照先の pierce を見ると、

- a pair of pierced earrings
ピアス1組(!単にearringsということが多い;× a pair of pierce としない).

と、懇切丁寧だ。英語の pierce の用法は動詞のみであることに注意したい。

また「ジーニアス英和辞典」は、語の定義は「イヤリング、耳飾り」だけだが、用例で

- pierced earrings 耳たぶに穴をあけて通すイヤリング、ピアス
clip-on earrings 耳たぶをはさんでつけるイヤリング.

と説明している。ただこれだと、「ピアス」は pierced~をつける必要があるような印象を受けかねないが、「ウィズダム」がわざわざ記述しているようにそうではなさそうだし、英語圏の辞書も、見た範囲では pierced~ は目にとまらなかったうえ、earring の語義自体、「ピアス」を意識したような記述があまり見当たらない。英語圏ではこの2つはあまり区別して考えないのだろうか。

例外的(?)に明確に書いているものとしては、

- a piece of jewellery, usually one of a pair, worn in a hole in the ear or fastened to the ear by a clip:
gold earrings
a pair of dangly earrings
He was wearing an earring in his left ear.
(Cambridge Advanced Learner's Dictionary & Thesaurus)

また Oxford Advanced Learner's Dictionary は、

- jewellery that you fasten in or on your ear

と書いているが、この in or on your ear の in の方が「ピアス」ということになるのだろうか。

だとすれば、「ケンブリッジ」とともに「オックスフォード」も「ピアス」の方を先に説明していることになるが、ここからの連想で、「耳飾り」はもともと耳に穴をあけてつけるものだったのではないか、と思った。

つまり earring とは元来「ピアス」で、clip式が後発であり、だから区別にもうるさくないのではないだろうか。これは単なる想像で、ちゃんと調べてはいないが、おもしろい歴史があるのかもしれない。

なお発音記号を見ると、/ˈɪərɪŋ/ と /ˈɪrɪŋ/ が載っていた。後者は「イヤリング」っぽくないが、こんな発音もあるのだな。ふとあらためて「スーパー・アンカー」を見てみたら、こちらは後者の発音だけを載せていて、これはこれでちょっと不思議に思った。

今回たまたま辞書で見つけた発見をめぐって書いたら、半世紀も英語を学んでいるのに・・・と情けない気分になったが、その一方で、まだまだ学ぶべきことはたくさんあるのだ、と謙虚にならなくてはいかんな、とも思った。

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TM

私が愛用するCASIO電子辞書のOxford Dictionaryには、a piece of jewellery worn on the lobe or edge of the earとあり、pierced, clip-onなどのつけ方の説明はありません。確かに、ピアス式の方が簡単に装着できるし、ねじ止め式はねじ切という高度な技術が必要なので、ずっと後に出てきたものと思われます。以下のサイトにはイアリングの歴史が書かれています。紀元前3000年ころの遺体にはピアス式イアリングがついていたとのこと。hoop earring(リング状のもの)の解説もあり、その名の通りリング状であった。解説は形状と素材についてのものが多いようです。
https://www.gemporia.com/en-gb/gemology-hub/article/1467/a-brief-history-of-earrings/

40年近く前、ロンドンの宝石店でお土産にイアリングを買おうとして見せてもらうと、当然のごとくピアス式しか出てきませんでした。clip-onはないの?と聞くと、おばさん店員はそんなものないわよと答えました。へー、ピアス式が当たり前なのかと納得したのでした。
by TM (2024-06-02 15:48) 

tempus_fugit

さすがTMさん、earingについてもご存知でお詳しいのですね。参考サイトも紹介していただき、ありがとうございました。

by tempus_fugit (2024-06-06 00:00) 

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