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「ノーモア・ヒロシマ」は No more Hiroshima. ではない [和英表現]

ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ」を、そのまま "No more Hiroshima." とするのは適切ではない。これだと、広島という都市はもうなくていい、広島の話はもうたくさんだ、というような意味になってしまうはずで、はなはだまずいことになる。

参考書の「ロイヤル英文法」がこれについて取り上げている。no more の項に、「広島の惨劇は繰り返すな」という意味なので "No more Hiroshimas." と複数形にしなくてはならない、という記述がある。また、"No more Hilters." なら「ヒットラーのような独裁者をもう出すな」、単数形の "No more Hilter." だと「ヒットラー(個人)にはもううんざりだ」という意味になると説明している。

この参考書の英文を校閲しているのは、好著「日本人の英語」を書いたマーク・ピーターセン氏だが、氏は「英語塾」という著書の中でも、"No more Hiroshima." はまずい、という指摘をしている。

一方、以前紹介した「表現のための実践ロイヤル英文法」は、やはりピーターセン氏が著作陣に加わっているが、これまで見た限り、「ノーモア・ヒロシマ」についての説明はなく、ちょっと残念に思った。

"No more Hiroshimas" といえば、これをタイトルにした詩集もある。作者のジェイムズ・カーカップは、その英文が英語学習書でよく取り上げられていたので、お世話になったという人もいることだろう。私もその一人だ。この詩集にある作品のひとつを、次で読むことが出来る。
http://www.spokesmanbooks.com/No%20More%20Hiroshimas%20Poem.htm


マーク・ピーターセン英語塾

マーク・ピーターセン英語塾

  • 作者: マーク ピーターセン
  • 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
  • 発売日: 2004/10
  • メディア: 単行本

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コメント 4

Michio

「ノー・モア・ヒロシマ」は No More Hiroshimas とすべきだとする説に賛成です。こうすることによって「広島」という都市の意味でなく、「広島が受けたような原爆の悲劇」という普通名詞的意味になるからです。
なお、私のブログで The game is afoot. その3を書きましたので、ご覧下さい。
by Michio (2007-08-10 10:20) 

子守男

Michio さん、コメントとご説明ありがとうございました。
The game is afoot.についてのエントリ、興味深く拝読しました。コメントもさせていただきました。今後ともよろしくお願いいたします。
by 子守男 (2007-08-10 18:00) 

三度許すまじ原爆を

文法的にどうこうと云う話ではなく、
No More Hiroshima
は冒頭部分にしか過ぎない言葉であるから
No More Hiroshimas
の複数形にするのは間違いと思う。

最後の
No more War
までどれも無くす言葉ではない。
過去のことと面倒くさがって複数形として
処理しないで下さい。
少し悲しくなります。

そのことを踏まえて未来ある方々に、
No more War
を叫びたい。

三度許すまじ原爆を

荒らしてるみたいでごめんね

by 三度許すまじ原爆を (2023-07-07 12:39) 

tempus_fugit

このブログは英語について学んだことを書き留めているブログでして、「ノーモア・ヒロシマ」という言葉の意味を的確に表すためには複数形にする方が英語として適切である、ということを書きました。

まさに「文法的にどうこう」というエントリではありますが、8月6日を含めて広島、および長崎をこれまで複数回訪れたことがある私としては、この言葉をないがしろにする意図があるわけではまったくないことは付記させていただきます。

by tempus_fugit (2023-07-09 20:20) 

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