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ネイティブのための単語の使い方ガイド [辞書・学習参考書]


Troublesome Words

Troublesome Words

  • 作者: Bill Bryson
  • 出版社/メーカー: Penguin
  • 発売日: 2009/10/01
  • メディア: ペーパーバック


単語の正しい使い方についての、ネイティブによるネイティブのための本である。プロのライターである著者が、不適切と考えた新聞・雑誌などの実例をもとに解説している。アルファベット順に並べた辞書形式になっているが、それほど厚くはなく、読み物としても面白い。

内容は幅広く、似た単語の使い分け、間違いやすい語法や綴りについての説明は、非ネイティヴにとってもすぐに役立ちそうだ。また、締まった文を書くための、削るべき単語や無駄な言葉づかいの説明も多い。

例えば、relatively について、like comparatively, should not be used unless you wish to convey some sense of a comparison or relationship. As often as not, the word can be removed without loss. とある。

また general consensus は tautology であり、consensus of opinion ともども避けるべきだと指摘している。

complete and unabridged は、Though blazoned across the packaging of countless audio books, the phrase is palpably redundant. とのこと。

さらに、ハムレットが道化 Yorick の頭蓋骨を手に語るシーンの台詞 "Alas poor Yorick! I knew him, Horatio." が、しばしば間違って "I knew him well." と引用されているといった、言葉そのものを離れた情報もあった。

この本にあげられた新聞雑誌の実例をみると、ネイティブだからといって必ず正しいわけではないという、考えてみれば当然のことを再認識するし、ネイティブのプロでもこうなのだから、非ネイティブにとって外国語が難しいのはこれまた当たり前と思い、安心すべきか悲しむべきか複雑な気持ちになる。また、こうしたメディアの英語を必要以上に持ち上げるべきではないということを教えてくれるようでもある。

著者の Bill Bryson は旅行記などで知られているらしいが、私は以前、"The Mother Tongue" という、英語の歴史を書いたこの人の著書を読んだことがある。楽しく読めて長さも適当なので、あわせて紹介しておく。

Bryson 氏はまた、 "A Short History of Nearly Everything" という一般向けの科学史も書いており、国内の書店でもよく見かける。私は理系科目の成績は芳しくなかったくせに科学ものを読むのが好きで、この本も立ち読みをしたが、相当分厚いので購入はしなかった。

また専門家によるこの本の書評も読んだが、事実誤認や著者の理解不足があると指摘されており、Simon Singh の科学史ノンフィクションと比較できるレベルにはないのかもしれない。ただ、専門家ならともかく、普通の人には十分参考になる内容だと思うので、こうした分野に興味があり、長さを厭わない人には楽しめるのではないだろうか。


The Mother Tongue: English and How It Got That Way

The Mother Tongue: English and How It Got That Way

  • 作者: Bill Bryson
  • 出版社/メーカー: Avon Books (P)
  • 発売日: 1996/03
  • メディア: ペーパーバック

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