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責任は俺が取る!(The buck stops here.) [名言・ことわざ]

このところ触れているミズーリ州は、大統領としてトルーマンを輩出している。在任中はきわめて不人気だったというが、後にぐんぐん評価が上がり、今では歴代大統領のランクで上位10人の常連になっている。英語学習の面からトルーマンを取り上げるとすれば、"The buck stops here." という表現になるだろう。彼はこの言葉が書かれたプレートを机に置いていた。

buckstopsherefrontsmall.jpg

pass the buck to 「責任転嫁」の逆で、最終責任を負うのは自分しかいない、他の誰でもない、といったような意味だという。ネットでは、次のような説明が見つかる。

- Responsibility is not passed on beyond this point.

- I'm the ultimately responsible person in this organization. Other people can pass the buck to me, but I can't pass the buck to anyone else.

- "The buck stops here" is a phrase that was popularized by U.S. President Harry S. Truman. It refers to "passing the buck," i.e., handing responsibility to someone else, and the fact that the president has to make the decisions and accept the ultimate responsibility for those decisions.

ある英和辞典は「責任のがれはしない」と訳している。これはなるほどと思ったが、別の辞典では「引き受けた」「任せておけ」となっていて、英語の定義を読む限り、こちらはちょっと丸めすぎでは感じたが、どうだろうか。

さて、トルーマン大統領の机上プレートは、いろいろなサイトに写真が載っているが、それを見るとわかるように、この言葉の最後はピリオドではなく、びっくりマーク exclamation mark になっていた。

また、プレートの反対側(トルーマンが見ていた側)の写真も、たとえば下記の The Harry S. Truman Library and Museum と The Phrase Finder の記事で見ることができるが、そこには先日紹介した "I'm from Missouri." という言葉が書かれていたことがわかる。

http://www.trumanlibrary.org/buckstop.htm
http://www.phrases.org.uk/meanings/the-buck-stops-here.html

"The buck stops here." には思い出がある。今は昔の1984年のこと、その年に行われたアメリカ大統領選挙のテレビ討論を見た。その中で、民主党のモンデール候補(のちの駐日大使)がトルーマンの言葉としてこの表現を引用した。流れてきた同時通訳は「若者はとどまった」というものだった。英語のプロである通訳者も抜け落ちていた知識をたまたま持っていただけのことだが、いずれにせよ間違いに気づいて、鬼の首を取ったような気持ちになった。

が、その後、ふと気づいて buck を辞書で引いたら、そこにはちゃんと「若者」と書かれていた。そして私は、この単語にそういう意味があることを知らなかった。 "The buck stops here." を誤訳したとはいえ、さすが英語のプロだ、と一転感心した。

ということで、この表現を見ると、こうした少々の自慢と大いなる自戒が思い出されるのである。ちなみに「責任」と「若者」の buck は、今でこそ同じ綴りの単語だが、由来は異なるようだ。

参考記事:
「ミズーリ」か「ミズーラ」か

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コメント 6

たんご屋

たしかこの buck はポーカーの親のことだと何かで読んだことがあります。本格的なポーカーをやったことがないので知りませんが、ポーカーの親というのはできるだけ早く回したいものなのでしょうかね。麻雀の親は、できれば長く続けたいものですけれどね。
by たんご屋 (2008-02-14 13:35) 

子守男

そのようですね。私はカードゲームは初歩のものしか知りません。もっと高度なゲームを理解できればいろいろ面白いだろうに、とよく思います(「スタートレック」のポーカーのシーンもちんぷんかんぷんですし)。
by 子守男 (2008-02-14 23:46) 

KIKI

初めまして。
英検1級をめざして勉強中の者です。
TIME(11月24日号)を読んでいて、トルーマン大統領のプレートについて書かれていたので調べるうちに、こちらにたどりつきました。
差し支えなければリンクを張らせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?
いろいろ参考にさせてください{%音符webry%}
by KIKI (2008-11-29 02:03) 

子守男

KIKI さん、ありがとうございます。リンクはご自由にどうぞ。
最近仕事多忙で英語に接する時間が減り、なかなか更新ができませんが、多少なりとも参考になりましたらうれしいです。
by 子守男 (2008-11-29 12:15) 

Mick

Buck は、カードゲームの当事者を表すためのbuckhorn からきていると思います。若者の意味ではないですよね?
by Mick (2018-01-05 15:55) 

tempus fugit

Mickさん、大昔の記事に目を留めていただきましてありがとうございました。
本文にも書きました通り、この表現のbuckは「若者」ではありませんね。辞書に"an object as a reminder in front of a poker whose turn it is to deal" (COD)とある方から来ているようです(buckhornという単語は知りませんでした。ありがとうございます)。
同時通訳者は誤って「若者」の意味に取っていましたが、私はそうした意味を持つ同じ綴りの単語があることを知りませんでした。プロの誤訳を見つけたといい気になっていた私は、後に自分の浅学さを恥じたというわけです。

by tempus fugit (2018-01-07 22:30) 

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