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Pigs could fly. 「そんなバカな!」「トンでもない」 [単語・表現]

CD店をぶらぶらしていたら、「ブタが飛べた」という邦題の帯がついた輸入盤が目にとまった。瞬間的に、原題は Pigs could fly. というイディオムに違いない、と思った。ジャケットを見たら、羽根の生えたブタが飛んでいる絵とともに、まさしくこの英語が書かれていた。

「ブタが飛べた」20世紀の児童合唱集

「ブタが飛べた」20世紀の児童合唱集

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Naxos
  • 発売日: 2008/12/10
  • メディア: CD

この表現、「まさか」「信じられない」といった意味である。CDは買わなかったが、帰りの電車の中であらためて電子辞書を引いたら、「ジーニアス英和大辞典」は、Pigs might [could] fly (if they had wings). の見出しのもとで Pigs will fly before he becomes a doctor. という用例を載せていた。

さらに他の辞書を見ると、may や can を使った形も載っており、助動詞は could に限らないことがわかる。またイギリス英語の表現であるという説明もあった。

家に帰って、私が使っている紙の辞書(学習用英和辞典)を見たら、「アンカーコズミカ」は、Pigs might fly (if they had wings). として、

【豚だって(翼があれば)空を飛ぶ】→[おどけて](意外なことに出会ったときに)不思議なこともあるもんだ;とんでもないことだ、まさか;(皮肉っぽく)そんなことあるわけないが(((米))ではしばしば when pigs fly という)
"With a little luck, we'll be finished by spring." "Yeah, when pigs fly (we will)."

また「レクシス」は、アメリカ英語の When pigs fly. の方を見出しにして、

そんなことがあるものか;とんでもない(強い拒否や否定を表すユーモア表現.= In a pig's eye. = ((英)) Pigs might [OR can] fly.)

と書いていた。どちらも、電子辞書収録の辞書よりも長めに記述している。

飛べない生物は人間を含めて種々あるだろうに、ブタをもってきたところが面白いと思ってネットで調べると、由来をこと細かに説明したものはなかなか見つけられなかった。

ただ、スコットランドの古いことわざから来ていること、またルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」でも言及されている表現であることが共通して書かれていた。例えば、次は Wikipedia の説明の一部である。

The idiom is apparently derived from a centuries-old Scottish proverb, though some other references to pigs flying or pigs with wings are more famous. Here is one such reference from Lewis Carroll:

"Thinking again?" the Duchess asked, with another dig of her sharp little chin.
"I've a right to think," said Alice sharply, for she was beginning to feel a little worried.
"Just about as much right," said the Duchess, "as pigs have to fly...."
- Alice's Adventures in Wonderland, Chapter 9.

( http://en.wikipedia.org/wiki/When_pigs_fly )

さて、今回店頭で見つけたCDはイギリスの児童合唱曲集であった。収録曲のひとつが "Pigs Could Fly" で、CD全体のタイトルにもなっている。

歌詞を見ていないので何ともいえないが、ジャケットの絵から想像すると、実際にブタが飛んだというような内容で、それをイディオムにひっかけたのだろうか。あるいは、このCDには同じ Howard Skempton が作曲した "Alice Is One" という曲が収められているので、やはり「アリス」と関係があるのだろうか。このCDを購入された方、また作品に詳しい方がいたら、教えていただければ幸いである。

「ブタが飛べた」という邦題の訳ではイディオムの意味は伝わらないが、目を引くことは確かだし、さらに絵を考えれば仕方がないことかもしれない。

さて、ここまで書いたら、このイディオムを以前取り上げたことがあるような気がしてきた。調べたらその通り、去年のアメリカ大統領選挙で話題になった put lipstick on a pig について書いたときに関連で短く触れていた

再度取り上げるのもどうかと思ったが、せっかくここまで書いたことだし、ブタのCDのこともあるので、結局掲載することにした。それにしては記憶力の衰退が悲しい。

過去の関連記事
・オバマ候補の「豚に口紅」発言 [辞書に載っていない表現]
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2008-09-17


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コメント 2

サンディ

ご無沙汰してます!トンカツかと思いました!ジャケットかわいいですね。
by サンディ (2009-01-20 19:22) 

子守男

サンディ さん、私もジャケットのイラストを見て、日本のCDかと一瞬思いました。ブタをかわいく描くというのは、英語圏も共通したところがあるのですかね。
by 子守男 (2009-01-22 00:11) 

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