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ブログの「炎上」 (flame) [ニュースと英語]

先日、ブログに批判的なコメントを集中豪雨的に書き込む行為が摘発された。「炎上」と呼ばれるものだが、この言葉は、ネット社会で使われる場合を除けば、一般にはあくまで「いわゆる」という枕詞なり、カギカッコなりをつけて使われるものと思っていた。

ところが、たまたま少し前の新聞を眺めていたら、次のような記事に気づいた。

- バラエティー番組などで活躍した男性タレント(37)のブログが悪意の書き込みで炎上した事件に関連して(以下略)
(「読売新聞」 2月5日)

さらに続報として、

- 男性タレントのブログが悪意の書き込みで炎上した事件を巡って(以下略)
(同、2月6日)

いずれも記事の最初の部分だが、カギカッコや「いわゆる」という言葉、あるいは「炎上」についての補足的説明はない。字数が限られている見出しも、当然のようにカギカッコはない。

個人的にはちょっと違和感を覚えたが、記者や校閲者はそうは思わなかったらしい。それとも、この新聞はこう表記することで統一すると決めたのだろうか。「炎上」はもちろんのこと、ブログが何かも知らないはずの私の母親など、何かが物理的に燃えたとしか思わないだろう。その一方で、言葉や表記はこうして徐々に認知されていくのだろうか、と思ったりもする。

表記についてはさておき、日本の英字新聞がこの現象をどう表現しているのかちょっと興味を持ち、ネットをのぞいてみた。

- posting hundreds of malicious messages
- relentlessly posting malicious comments on the celebrity's blog
- dozens of people were taking part in the smear campaign
- Online bulletin boards and a blog... were flooded with messages suggesting that...
- As the influence of the Internet spreads, the number of online libel cases is also increasing yearly.

このように説明されている。最後の例にある libel は「侮辱、中傷、名誉毀損」といった意味である。

さらに、flame という単語も複数の英字新聞が使っていた。

- Many bloggers, including well-known TV celebrities, have been flamed recently, and many have shut down their blogs because of the rumors or abusive language.

- The case is an example of "flaming," which refers to personal and/or defamatory attacks by users against others on Internet bulletin boards, chat rooms, Web pages and blogs over the target user's attitude or remarks.

- This case is likely the first crackdown on what is known in Internet parlance as a flame attack, or "enjo" in Japanese

- Some targets have been forced to shut down their blogs after a nasty smear has spread like wildfire--giving rise to the name for this sort of attack: flaming. These online firestorms also are sometimes known in Japanese as "festivals."

- However, celebrities are not the only ones coming under attack--even regular people are being targeted by flamers.

flame とはまさに「炎上」という感じだが、和製英語ではないようで、日本の英字新聞以外にも使っている実例がネットにある。何よりも、辞書で名詞・動詞について次のように定義されている。

- (Computing) (informal) a vitriolic or abusive email or newsgroup posting, typically one sent in quick response to another message.
flames about inexperienced users posting stupid messages (注・vitriolic 「辛辣な」「硫酸の」)

- (Computing) (informal) send (someone) abusive or vitriolic electronic mail messages, typically in a quick exchange.

- [C] (informal) to send somebody an angry or insulting message by email or on the Internet

- [コンピュータ] フレーム(電子掲示板・Eメールでの感情にまかせた激しい、無礼な表現)

- ののしり(のメール)、フレーム(電子掲示板や電子メールで口ぎたなくののしること[文書])

こうみると、「炎上」は flame から来たのではないか、とも考えたくなる。コンピューター関係の言葉の多くが英語から来ているはずだが、ネット文化について使う言葉もそうなのだとしたら面白い。

ただ、「炎上」は、不特定多数の人がよってたかって集中的に批判するという意味合いが強いのではないかと思うが、flame は定義を見る限り、批判の書き込みについてもっと一般的に使うような印象を受けた。このあたりは私にはよくわからない。「炎上」の由来や意味合いについて詳しい方がいらしたら、教えていただければ幸いである。

タグ:日本語
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コメント 4

たんご屋

英語の flame は、もともとニュースグループで使われるようになった用語なんじゃないですかね。パソコン通信のころはカタカナで「フレーム」といっていましたので、わたしも「炎上」は「フレーム」を日本語にしたんだなと特に疑問をもたずに認識していました。ただ、サーバを「鯖」とかプロキシを「串」とかいうような一種の隠語のようなものと思っていましたので、新聞が使うのはどうなのかなと思います。わたしのブログでも取り上げようと思っていたのですけれどね。先を越されました。
by たんご屋 (2009-02-17 07:22) 

子守男

いろいろ教えていただきましてありがとうございました。たんご屋さんのように技術にお詳しい方にとっては、むしろ当然のことだったのですね。
私は英語の話をするきっかけにしただけなので、ぜひたんご屋さんのブログで取り上げてください。楽しみにしています。
by 子守男 (2009-02-17 23:24) 

ぐうたらぅ

ブログ移転お疲れさまです。
ブログ(は最近は説明なしで通じるのでしょうかね?)や掲示板を知らない人にとって「炎上」は、やはり言葉の説明が必要かもしれないと思います。ただ、私自身は「炎上」を専門用語や隠語ほど難しくとらえず、比喩表現として解釈していたので、由来を考えたこともありませんでした。「火のない所に煙…」とか「火に油を注ぐ」も物が燃えなくても使えるので、そういうところからの連想が働いたのでしょうか。
私は「フレーム」という言葉にはなじみがないです。私はframeの方を思い浮かべてしまうのでまぎらわしいですね。
by ぐうたらぅ (2009-02-18 01:59) 

子守男

ぐうたらぅ さん、お久しぶりです。今後もよろしくお願いします。
「炎上」は、ブログが何たるかを知っていればわかる言葉であるのは確かですよね。 「フレーム」は私も知らず、やはり frame を思い浮かべました。
by 子守男 (2009-02-19 22:53) 

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