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「赤毛組合」にみる cordial [シャーロック・ホームズ]

シャーロック・ホームズ譚の短編「赤毛組合」 "The Red-Headed League" について短い続きを書く。前回取り上げたホームズの言葉をもう一度書いてみよう。

- "You could not possibly have come at a better time, my dear Watson,” he said cordially.

今回書きたいのは、文末の単語 cordially である。この単語は、ホームズ譚の第1作「緋色の研究」 "A Study in Scarlet" で、ホームズとワトソンが最初に出会う(ファンにとっては名高い)場面でも使われている。

- "Dr. Watson, Mr. Sherlock Holmes," said Stamford, introducing us.
"How are you?" he said cordially, gripping my hand with a strength for which I should hardly have given him credit. "You have been in Afghanistan, I perceive."
"How on earth did you know that?" I asked in astonishment.

cordially を英和辞典で見ると「真心こめて」「心から」「熱心に」などと書かれている。新しい創元推理文庫の深町眞理子訳も「親しみのこもった口調」としている。

ここで形容詞の cordial を辞書で引いてみる。すると、「真心のこもった」「思いやりのある」などの他に、「本心からの」「偽りのない」という語義を載せているものがある。

そうすると、社交辞令ではなく、ホームズが本気でそう言っている(とワトソンが受け取るものがあった)というニュアンスが cordially にこめられているのではないか、と思う。ワトソンはホームズのことを「冷徹な推理機械」のように表現することがあるが、短編集を読み進めていくと、実際には人間味を感じさせる描写もあちこちにあって、ホームズという人物を興味深いものにしている。

こういったことを考えて、cordial について英英辞典で調べれば、さらにはっきりしたことがわかるのはと思って見ると、warm and friendly とか pleasant and friendly というような定義しかなかった。私の考え過ぎだったのかもしれない。見た中では唯一、オンラインの Webster's 1828 Dictionary に、「偽りのない」にあたる定義があった。

- Heartily; sincerely; without hypocrisy; with real affection.

cordial や cordially の持つニュアンスについて詳しいことを知っている方がいらしたら、教えていただければ幸いである。


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papichan

映画「サウンドオブミュージック」で、トラップ家の長女リーズルと電報配達員ロルフとの会話の中で、リーズルが自分にも電報を打って、とお願いするシーンがあります。

ロルフが〆に最初はsincerelyと言うと明らかに不満顔のリーズル、ありきたりですものね。

で、次に彼は
cordially(友情をこめてor 親しみをこめて)
と言います。

それでもムクれるリーズル、それを見越して最後に

affectionately(愛情を込めて)
と言うと、満足して抱き合う二人。

ここからもcordiallyはwarm & friendly, pleasant & friendlyがピッタリかと。でも一般的な表現のsincerelyよりもお友達度f上がった表現ではないかと思います。ホームズとワトソンの今後の友情関係を暗示させる副詞でもあるように思います。
by papichan (2011-08-21 12:07) 

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