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whole package 「完璧な人「すば抜けた人」 (ソチ五輪の記事より) [辞書に載っていない表現]

ソチオリンピックが終わったが、キム・ヨナではなくロシアの選手が金メダルを獲得したフィギュア女子の採点に疑問の声が出た。これを伝えるCNNの記事を読んでいたら the whole package という表現があったので、これについて書いてみたい。

優勝したソトニコワは、確かに優れてはいるが完璧なスケーターという域には達していない、というコメントの中で出てきた。

- Dick Button, a men's figure skating two-time Olympic gold medalist, said he didn't think Sotnikova was the whole package. "Sotnikova was energetic, strong, commendable, but not a complete skater."
( ttp://edition.cnn.com/2014/02/21/sport/kim-sotnikova-skating-controversy/index.html?hpt=hp_c3 )

タイムや飛距離といった絶対的な数値が出るわけではないフィギュアスケートなどの競技は、全員が納得できない結果もありうるので難しいところだ。この記事も、3回転ジャンプを5種7回跳んだソトニコワの方を評価する見方もあると一方で伝え、内容のバランスを取っていた。

それはともかく、電子辞書を見たが whole package は見当たらない。オンライン辞書を検索したら、見つかった範囲では Wiktionary と Urban Dictionary だけが載せていた。

Wiktionary の下記の定義は 2 が今回の意味になる。

- (plural whole packages)
1.(usually with the) All the elements constituting a whole or occurring as a unit.
 
2.(usually with the) Something or someone that possesses a full set of relevant characteristics, usually desirable ones.

ふつう定冠詞をつける、と書かれているが、Urban Dictionary は the をつけた3語で見出し語にしていた。長いが詳しいので全文を引用しよう。

- A person who possesses all the ideal qualities one is searching for. In terms of a stereotypical potential spouse, a person who is the whole package would have a beautiful face, a great body, intelligence, humor, kindness, confidence, financial stability, maturity, etc. A prospective employee who is the whole package would have breadth and depth of experience, constant creativity, initiative, great communication skills, assertive leadership, unimpeachable integrity, punctuality, and so forth.
 
"Wow. This new marketing director is the whole package. Everything about her is awesome."

つまり、理想として求める資質や要素をすべてひとそろい(= whole package)備えている人、他に抜きん出た、非の打ち所のない人、ということであろう。上記のように結婚相手や従業員、さらにCNNの記事のようにスポーツ選手、などなど、求められるものは違えど対象となる分野で完全無欠、無比の存在であれば使えるようだ。

どのような由来で、いつ頃から使われているについての説明は書かれていない。単語は簡単、意味も明快で、日常生活でよく使われていそうだが、辞書に載っていないということは、それほど古い表現ではないということだろうか。

「人」を指しているとあって上に記した例ではbe動詞が使われているが、ネットで実際に使われた例を見ると、"She's got the whole package." といった言い方もされているのに気づく。つまり whole package を「比類なき資質」ととらえて、have (got) ~と所有の形で使ってもいいということになりそうだ。

つ いでに連想した表現に have (got) what it takes to がある。英会話のフレーズ集にも載っているのではないかと思うが、「~に必要な資質(才能、能力、財力など)がある」という意味で、「~の器(うつわ)」 という日本語にもこの表現を使うことができるだろう。

(参考記事)
ソチで会見した森元首相に「なぜ英語で話さないのか」と記者が質問


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