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「プリンセス・マサコ」と日本政府の対応 [日本のニュース]

ここ数日間の新聞(日本語)を見返していたら、雅子皇太子妃について書かれた本 "Princess Masako - Prisoner of the Chrysanthemum Throne" には事実誤認が多いとして、外務省と宮内庁が、著者のオーストラリア人記者 Ben Hills と出版社に抗議文を送ったという記事が目に留まった。

去年出版された "Princess Masako" をめぐっては、「皇室や日本の事物に関する記述に間違いが多すぎる」といった複数の指摘を読んでいた。また、この本を引用して雅子妃についての記事を載せた某大手新聞社の週刊誌が、後で、「誤解を与えかねない部分があった」という「おわび」を出す騒ぎもあった。

そうしたことから、どうも要注意の本らしいと感じていたが、私は実際に読んだわけではなく、また内容の検証ができるはずもないので、決めつけは避けなくてはいけないだろう。

一方で、日本の政府が、この本は誤った情報に満ち溢れているという確信を持っているなら、今回のような対応を取るのは良いことだと思う。別に皇室制度を云々したいのではなく、日本に対する海外の理解について、正すべきだと国が思っていることがあるなら、真っ向から主張するのは望ましいと考えるからだ。

さて、このニュースが海外でどう扱われているのか興味がわいたので、ネットを見てみたが、あまり見当たらない。日本の英文メディアは別にすると、CNN と2、3の新聞のネットで取り上げられているのが見つかったくらいだった。それぞれ3大通信社の記事を使っていたので、こうした国際通信社が配信していたことになり、ネットで引っかからないところで海外の人の目に触れているかも知れないが。

また今回の抗議ではないが、日本の某英字新聞のネイティヴのスタッフライターが、Hills の本で misquote されたと怒っている英文が見つかった。「プリンセス・マサコ」とその著者に対する疑念をますます深めるものではあった。

次に外務省のサイトを見たが、新聞で取り上げられている割には、日本語のトップページにそれらしい項目はない。少し探して、ようやく「報道官会見記録」の中に、今回の抗議を示す小見出しがあるのを見つけた。

クリックすると13日付会見の要旨があり、概要を知ることができた。それを読むと、会見の場で資料を配ったことがわかるが、その中身や、著者に送った抗議文の文面は、私が見た限り、サイトには掲載されていない。機密事項が含まれているとは思われない政府の公の行動なのだから、こうした文書も公開してしかるべきだと思うのだが。

続いて外務省の英語のページに行ったが、こちらに至っては、今回の抗議についての記述は、少なくとも調べた時点では、一言も見つけられなかった。実際に掲載していないと仮定してだが、これでは今回の抗議についてもっと知りたくなった海外の人がサイトにやってきても、肩透かしを食うだけではないだろうか。

政府として著者に公の形で抗議したということは、対決も辞さずという覚悟があるはずだから(ケンカとは勝つためにやるべきで、そのつもりがないなら吹っかけるべきではない)、もっと自己の立場をPRしてしかるべきではないだろうか。あまり魅力の感じられないサイトのデザインといい、どうも宣伝下手という印象を拭えなかった。

続いて宮内庁のサイトに行くと、こちらは日本語・英語ともトップページに見出しがあり、著者に送った侍従長名の書簡全文が日・英とも掲載されていた。皇室問題では一部で批判を浴びることもある宮内庁だが、サイト上の対応については、外務省より好感が持てる。

その書簡を読むと、宮内庁が問題ありと捉えている内容のうち、2点ほどに絞って抗議している。自信があるならもっと多くの事例を挙げて反論すればいいのに、と個人的には思ったが、まあそれはまた別の問題としよう。

お役所のサイトといえば、例えばアメリカ政府のものを見ると、省庁にもよるが、まずは「見てもらおう」という努力が感じられる。よくも悪くもアメリカだから、だまっていてもサイトを訪れる人は大変な数に上ると思うが、それでもいろいろ工夫をしているわけである。

もちろん、そうしたエネルギーをつぎ込んでいるウラには、情報を出す側でコントロールしようという意図があるわけで、そこのところはわきまえなくてはいけない。

一方、日本の省庁は、例えば「新着情報」を見ると、硬い漢字ばかりの会合や出来事などの名前をそのまま羅列し、しかも判で押したように「~について」という見出しになっていて、いかにも”官庁”といった感じだ。

さらに、それぞれの英語のサイトも、見出しは概して長めで、タイトルの表現も正確を期すあまり、かえって何についてかわかりにくくなっているものが目立つように感じた。無理に新聞のような crisp で snappy なタイトルにするのはかえって不自然かもしれないが、もう少し何とかならないものだろうか。

「プリンセス・マサコ」をめぐる騒ぎから始まって、日本の官庁の対外アピールについてと、とりとめのない話になったが、どちらも今後どうなっていくのか、ちょっと興味がある。

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