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different than はどう使われるのか [文法・語法]

先日ネイティブスピーカーと話す機会があったが、自分では意識しないのに different than という表現が口から出てきた。規範から外れた英語は真似しないよう心がけてきたつもりなので、ちょっと驚いた。どこかで聞いた音が無意識のうちに残っていたのだろうか。人間の脳とは不思議なものだと思う。

それはともかく、different than はアメリカではかなり前から広く使われているということだし、「規範から外れた」とは書いたものの、辞書にも載っている。また from とは違う点があるとも聞いている。そこで、今回の体験を少しでも前向きにとらえようと、辞書で確かめてみた。

短くまとまったものとしては、こんな説明があった。

"Different from" is the more accurate and acceptable form: "Apples are different from oranges," "He was different from what I expected."

However, "different than" is becoming acceptable before clauses ("He was different than I expected") because the "what" can be conveniently omitted. Take note of the audience and tone of the essay before deciding.

( http://web.uvic.ca/wguide/Pages/UsDifferent.html )

than が使われるのは、あとに節、つまり主語と述語を含むかたまりが続く場合ということになる。逆にいうと *"He was different from I expected." とはいえない、というわけだ。

さらに詳しい説明を例文とともに載せていたのが The American Heritage Dictionary だった。ポイントを抜き書きしてみよう。

"Different than" is more acceptably used, particularly in American usage, where the object of comparison is expressed by a full clause: "The campus is different than it was 20 years ago."

"Different from" may be used with a clause if the clause starts with a conjunction and so functions as a noun: "The campus is different from how it was 20 years ago."

( http://www.bartleby.com/61/53/D0215300.html )

how it was... というのは、いってみれば the way it was... ということだから、名詞の前に置くのものとして from の方が適切ということなのだろう。

さらに、from と than で意味が微妙に異なると受け取られるケースもあるのだそうだ。American Heritage によると、

"How different this seems from Paris" suggests that the object of comparison is the city of Paris itself, whereas "How different this seems than Paris" suggests that the object of comparison is something like “the way things were in Paris” or “what happened in Paris."

つまり最初の例文では、this という物理的な場所そのものをパリと比較しており、2つ目の文は、ある場所での状態や出来事をパリのそれと比較している、ということらしい。

この2つが厳密に区別されるとは言い難い場合もあると思うが、面白い。than には節が続くという特徴の影響で、単純な名詞が後に来る場合でも、より複雑なニュアンスが加味されるということかもしれない。

prescriptive と descriptive というくくりでいえば、different than を取り上げるのは descriptive な立場といえるのだろうが、このような辞書の説明を読むと納得した気になって何となく落ち着くのは、やはり規範文法で英語を学んだ者の性だろうか。また、こうしたことを知っても、今後とも自分から積極的に使うつもりはないが、ともあれ今度 different than の実例を見たら、どのように使われているのかじっくり観察してやろうと思った。

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コメント 2

miki

私も昔、友だちのアメリカ人が「different than」を使っているのを聞いて、「また文法まちがってるしぃ~」なんて思ってしまったほど、抵抗があったのですが、今ではたまに使っちゃってますね。

たしかに比較級で使う「than」の後もすぐ主語、述語と使うから、文章がすぐ続くとき抵抗ないですが、「from」の後は名詞節でないとゼッタイに受け入れられませんね。

私も文法のこだわり、重箱の隅をつつくほど好きです。おもしろい記事、ありがとうございました!
by miki (2007-08-14 11:20) 

子守男

miki さん、コメントありがとうございました。

>たしかに比較級で使う「than」の後も(後略)

この点ではdifferent thanも文法的にちゃんとしていて、破格ではないのが面白いですね。この言い方が正式のものとして認知されるのも、そう遠くないように思います。
by 子守男 (2007-08-14 22:53) 

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