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新語 ungoogleable 「ググったけど見つからない」をめぐって [辞書に載っていない表現]

前回紹介した "Learning English" とならんで私が気に入っているBBC内のサイトが、硬軟取り混ぜた話題を載せた "Magazine" である。英語にからんで最近おもしろかったのが、ungoogleable という言葉をめぐる記事だった。

先月下旬スウェーデンで起きた騒動について書いたもので、ungoogleable (=un+google+able) はスウェーデン語の ogooglebar にあたる英語だが、言語の違いは直接関係ないといえる出来事だったので、ちょっと触れてみたい。

What is 'ungoogleable'?
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-21956743

騒ぎの当事者となったのは The Language Council of Sweden で、記事は Sweden's language watchdog と言い換えている。スウェーデン版国語審議会といったところか。

この組織がスウェーデン語の新語リストに "ogooglebar" を載せようとしたところ、Google 社から「待った」がかかった。理由は、定義に関わるものだった。

- it (the Council) defined the term as something that cannot be found with any search engine.

つまり、スウェーデンの「国語審議会」は、グーグルに限らず検索エンジンで見つからなければ ungoogleable であるとした。しかし、

- Google wanted the Swedish translation to be changed to refer only to Google searches, and the Council opted to remove the word altogether to avoid a lengthy legal battle.

と、グーグルで見つからない場合に限定せよとクレームがついたため、裁判沙汰になったらめんどう、とリストから "ogooglebar" を外すことを決めた、という。

騒ぎの一部始終は、"Magazine" のこの記事からリンクが張られている別のBBCの記事 "Google gets ungoogleable off Sweden's new word list" がより詳しい。
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-21944834

それによると、スウェーデンの「審議会」は決定のあと、

- "Who decides language? We do, language users. We decide together which words should be and how they are defined, used and spelled."

というステートメントを公式サイトに出した。何となく悔しさがにじみ出ているように感じる。

一方、グーグルはBBCの取材に対して、

- "While Google, like many businesses, takes routine steps to protect our trademark, we are pleased that users connect the Google name with great search results."

と述べている。検索エンジンの代名詞としての余裕を感じさせるようなコメントだ。

さて "Magazine" の記事は、「スウェーデンの国語審議会 vs. グーグル」という構図ではなく、ungoogleable という単語を引き合いに、「検索エンジンで見つからない」、さらには「検索エンジンで見つけられないようにする」ということの持つ意味合いについて書いたものだ。「ネット社会学」、といったら大げさからもしれないが、ちょっとおもしろい視点だと感じた。

いずれにせよ、ungoogleable あるいは ungoogleability という単語が、グーグル社の考えとは関係なく広まっていくのではないかという気がする。

・・・といったことを考えたが、ふと気がついて google.com でググって調べてみたところ、Urban Dictionary がすでに ungoogleable を載せていた。しかも今回のスウェーデンの騒ぎを用例にあげている。オンライン辞書の利点だが、それにしても早い。
http://www.urbandictionary.com/define.php?term=ungoogleable&defid=1283366

また Word Spy というサイトにもこの単語の記載があった。
http://www.wordspy.com/words/ungoogleable.asp

そしてこれらのサイトを見て、実はゼロ年代はじめからこの言葉が使われていたことを知った。

何のことはない、スウェーデンで "ogooglebar" は新語だが、"ungoogleable" は英語圏では(収録している辞書はほとんどないものの)すでにそれなりに広まっているらしい。グーグルの影響力恐るべしである。

そして google は、毎年 「今年の単語大賞」 Word of the Year を選定しているアメリカ英語学会 The American Dialect Society が、「ゼロ年代の単語大賞」に選んだ言葉だ。

以前取り上げたことがあるので、興味を持たれた方は参照していただければ幸いである。あらためて読み返すと、g を小文字にして一般的な意味を持たせたということだったが、この時はグーグルは文句をいわなかったのだろうか。

参考記事:
・「この10年の英単語」大賞は「ググる」 (google) 
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2010-01-14
・「ゼロ年代」は英語で何というか
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2008-03-23

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