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tinfoil hat 「電波系」「陰謀論を信じている人」(続・エリア51) [辞書に載っていない表現]

前回取り上げたアメリカの秘密軍事基地「エリア51」の公表をめぐる記事を読んでいたら、tinfoil-hat という単語が出てきた。「ブリキ箔の帽子」とは何だろうか。辞書には載っていなかったので、ネットで調べてみた。

まず、読んだAP通信の記事から、この単語が使われた部分を引用しよう。

- The recently declassified documents have set the tinfoil-hat crowd abuzz, though there's no mention in the papers of UFO crashes, black-eyed extraterrestrials or staged moon landings.
http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=212632048

abuzz は「ブンブン音をたてて、がやがや騒いで」ということで、「文書が公表されると、tinfoil-hat の人々は騒然となった。墜落したUFOや黒い目をした宇宙人、あるいは月着陸やらせ説については書かれていなかったが」というように考えればいいのだろう。

オンライン辞書も、tinfoil-hat を載せたものはほとんどなかったが、数少ない記載として、形容詞ではなく、ハイフンのない名詞として次のような説明があった。

- A piece of headgear made from one or more sheets of tin foil, aluminium foil, or other similar material, especially when worn in the belief that it shields the brain from electromagnetic fields, or against mind control and/or mind reading.
(Wiktionary)

- humorous used in allusion to the belief that wearing a hat made from tinfoil will protect one against government surveillance or mind control by extraterrestrial beings: you don’t need to be wearing a tinfoil hat to understand that your privacy might not be as private as you would think
http://oxforddictionaries.com/definition/english/tinfoil-hat

ということで、政府あるいは宇宙人が人々の精神を操ろうしている、と考えている人をからかって使う言葉のようだ。ブリキ箔のヘッドギアをかぶればマインドコントロール波を防ぐことができる、というわけである。「電波(系)」という日本語を連想する。

Wikipedia も項目を設けていたので、一部引用する。

- The concept of wearing a tin foil hat for protection from such threats has become a popular stereotype and term of derision; the phrase serves as a byword for paranoia, persecutory delusions and belief in conspiracy theories. This stereotype is popular in pop culture (以下略)
https://en.wikipedia.org/wiki/Tin_foil_hat

byword はネガティブな意味での「見本」「典型」「代名詞、また persecutory は「被害妄想」。conspiracy theory は前回取り上げたように、政府当局者などが一般に知られないような形で何か悪いことをしていたり隠したりしているという考え方を指す。

上記の説明にあった humorous というラベルがまさにあてはまるのが、今回のような「宇宙人がすでに地球に来ている」といったトンデモ系、サブカル系の話だが、さらにネットを見たら、ハードな社会問題に tinfoil hat を使っている例もあった。

そうした実例は、マスコミの記事のコメントや個人のブログばかりだったので引用は避けるが、最近の有名な事例でいえば、アメリカの情報機関が個人情報を大規模に収集していたという Edward Snowden 氏の内部告発 whistleblowing について使われていた。

「政府が電波を使って人々の頭の中をのぞき込もうとしている」というイメージを、個人情報の監視(を政府機関がしているという懸念)に重ねあわせているのだろう。こうした考えはトンデモ的な心配だと思っていたら本当に政府がやっていた、という文脈での例もあった。

また Big Brother という、ジョージ・オーウェル George Orwell の作品「1984年」に出てくる監視社会を象徴する言葉と並べて使っていた例もあった。まさに Orwellian な国家社会が陰で進行していることに警鐘を鳴らしたのが今回の告発だったというわけだ。なお一方で、こうした措置はテロを防ぐために必要(悪)であり、スノーデン氏は英雄どころか売国奴だという意見があることも付記しておきたい。

tinfoil hat とは関係ない話になってしまったが、「エリア51」については、かなり分量のあるノンフィクションが出ていることもネットで知った。そのうちに読んでみようか。

参考記事:
・やはり実在した! 秘密軍事基地「エリア51」
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2013-08-21
・whistle-blower, blow the whistle 「タレコミ」
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2006-10-13


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