「ギャラクティカ」ではなく「ガラクティカ」 [発音]
季節が移り、空が澄んで星の美しい時期になった。連想で、先日取り上げたアシモフの Foundation からもうひとつ。このSF小説に "Encyclopedia Galactica" という架空の百科事典が出てくる。翻訳では「エンサイクロペディア・ギャラクティカ」のように訳されている。
galaxy は、銀河系外にある別の銀河系型星雲(島宇宙)を指し、定冠詞をつけて大文字で始めると太陽系のある銀河系(天の川)のことになる。この名前を使ったアメリカの軍用機があり、「ギャラクシー」と表記されている。
10代後半に熱中して小遣いを散財したゲームに「ギャラクシアン」があった。同じころ Battlestar Galactica というSFテレビドラマがあり、「宇宙空母ギャラクティカ」というタイトルがつけられていた(最近リメイク reimagining されている)。
そんな先例もあり、Galactica は「ギャラクティカ」のように発音すると無意識に思っていた。この流儀で、galacitic を発音せよといわれたら、「ギャラクティク」のようにするだろう。
しかしある日、むかしBBCが制作した「ファウンデーション」のラジオドラマがインターネットにあるのを見つけて、ダウンロードして聞いていたら、これが間違いであることを知った。
http://archive.org/details/IsaacAsimov-TheFoundationTrilogy
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Foundation_Trilogy_%28BBC_Radio%29
ドラマには、原作同様 Encyclopedia Galactica が出てくるのだが、どう聞いても「ギャラクティカ」ではなく「ガラクティカ」のように発音されている。
BBCの制作なので、イギリス式の発音かと思った。しかし、辞書で galactic を確かめたら、最初の母音は、実はあいまい母音 schwa だったことを知った。Galactica も同様だろう。
考えてみれば、galaxy は第1音節に強勢があるが、galactic は第2音節の -la- にあり、ga- ではない。強勢のない a はあいまい母音になるケースが多いはずだ(ただ、Manhattan 「マンハッタン」の第1音節のような例外もあり、普遍なルールではない)。
ということで、カタカナで表記するなら「ギャ」より、むしろ「ガ」あるいは「グ」のほうが原音に近いといえそうだ。「ギャラクティカ」は自分の思い込みだったのだ。気をつけなくてはいけない。
といっても、私は原音に近いカタカナ表記でないと認めないという原理主義者ではないので、「宇宙空母ガラクティカ」と表記を変えよ、というつもりはまったくない。時おり、「日本人の英語力の低さはカタカナ語が理由」として、すでに定着した慣用や固有名詞のカタカナ表記まで変えるべきだという人がいるが、理解に苦しむ。
過去の参考記事:
・「ファウンデーション」(銀河帝国興亡史)
・続々・続きは前編で
・和製英語は役に立つ
galaxy は、銀河系外にある別の銀河系型星雲(島宇宙)を指し、定冠詞をつけて大文字で始めると太陽系のある銀河系(天の川)のことになる。この名前を使ったアメリカの軍用機があり、「ギャラクシー」と表記されている。
10代後半に熱中して小遣いを散財したゲームに「ギャラクシアン」があった。同じころ Battlestar Galactica というSFテレビドラマがあり、「宇宙空母ギャラクティカ」というタイトルがつけられていた(最近リメイク reimagining されている)。
そんな先例もあり、Galactica は「ギャラクティカ」のように発音すると無意識に思っていた。この流儀で、galacitic を発音せよといわれたら、「ギャラクティク」のようにするだろう。
しかしある日、むかしBBCが制作した「ファウンデーション」のラジオドラマがインターネットにあるのを見つけて、ダウンロードして聞いていたら、これが間違いであることを知った。
http://archive.org/details/IsaacAsimov-TheFoundationTrilogy
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Foundation_Trilogy_%28BBC_Radio%29
ドラマには、原作同様 Encyclopedia Galactica が出てくるのだが、どう聞いても「ギャラクティカ」ではなく「ガラクティカ」のように発音されている。
BBCの制作なので、イギリス式の発音かと思った。しかし、辞書で galactic を確かめたら、最初の母音は、実はあいまい母音 schwa だったことを知った。Galactica も同様だろう。
考えてみれば、galaxy は第1音節に強勢があるが、galactic は第2音節の -la- にあり、ga- ではない。強勢のない a はあいまい母音になるケースが多いはずだ(ただ、Manhattan 「マンハッタン」の第1音節のような例外もあり、普遍なルールではない)。
ということで、カタカナで表記するなら「ギャ」より、むしろ「ガ」あるいは「グ」のほうが原音に近いといえそうだ。「ギャラクティカ」は自分の思い込みだったのだ。気をつけなくてはいけない。
といっても、私は原音に近いカタカナ表記でないと認めないという原理主義者ではないので、「宇宙空母ガラクティカ」と表記を変えよ、というつもりはまったくない。時おり、「日本人の英語力の低さはカタカナ語が理由」として、すでに定着した慣用や固有名詞のカタカナ表記まで変えるべきだという人がいるが、理解に苦しむ。
過去の参考記事:
・「ファウンデーション」(銀河帝国興亡史)
・続々・続きは前編で
・和製英語は役に立つ
ファウンデーション ―銀河帝国興亡史〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)
- 作者: アイザック・アシモフ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1984/04
- メディア: 文庫
Foundation (The Foundation Series)
- 作者: Isaac Asimov
- 出版社/メーカー: Collins
- 発売日: 1994/03/28
- メディア: ペーパーバック
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