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ケネディ大統領暗殺から50年 [アメリカ政治]

前回はケネディ大統領関連の記事から表現を拾ったが、学生時代アメリカを旅行した時、ケネディが凶弾に倒れたダラスの Dealey Plaza に足を運んだ。事件から当時すでに約20年経っていたが、私を含め何人もの観光客が現場付近を歩き回ったり写真を撮ったりしていた。それまで映像や写真で見て想像していたより、ずっと狭い場所だったのがちょっと意外だった。

ケネディ大統領の暗殺については、近くのビルから狙撃したとして逮捕されたオズワルド Lee Harvey Oswald の単独犯だとする公式調査の結果とはうらはらに、不審な点がいくつも指摘されており、背後に陰謀があったとする見方 (conspiracy theory) も後を絶たない。

例えば、オズワルドは大統領の後ろ側からライフルを撃ったが、前方にある grassy knoll と呼ばれる草むらに別の犯人が潜んでいて発砲したという説は根強い。しかし実際に現場に立ってみると、そんな狙撃者がいたとしたら周囲の人たちにすぐに気づかれてしまうのではないか、と感じたほどの広さしかなかった。自分が抱いていた想像は、映像や写真のもたらす錯覚といえるだろう。

そんな自分の体験もあってか、これまで「ケネディ暗殺の謎」に関する日本語や英語の本を何冊か読んできた(そうした「謎」のひとつは以前触れたことがある "magic bullet" である)。もちろん真相が明らかになったわけではないが、英語の読書力アップに役立ったのは確かだ。

そうした本の中で印象に残った一冊に Case Closed という本がある。

Case Closed: Lee Harvey Oswald and the Assassination of JFK

Case Closed: Lee Harvey Oswald and the Assassination of JFK

  • 作者: Gerald Posner
  • 出版社/メーカー: Anchor
  • 発売日: 1994/08/15
  • メディア: ペーパーバック

ネタバレになるが、指摘されているいくつもの「謎」を検証し、結局、事件は公式調査と同様、オズワルドによる単独犯行説と結論づけるのが妥当だ(つまりCIAやマフィア、ジョンソン副大統領やニクソン、ソ連やキューバ、などなど、さまざま囁かれている「陰謀」などなかった)とする内容だ。

結論だけを聞くと「なあんだ、つまらない」と思いそうだが、それまで他の本で読んでいた「謎」を、ひとつひとつ資料や事後調査でつぶしていくさまは圧巻である。

もっとも、これで事件に終止符が打たれた、case closed だ、とは考えない人がいるのもまた確かで、著者 Gerald Posner の調査に対する反論などもネットで見つかるが、「本当にこの本の通りなのだろうか」と思わされる点も含めて、たいへん読み応えがあった。

今年アメリカでは、多数の新しい「ケネディ本」が出版され、その評価だけではなく、暗殺事件の検証や陰謀説についての書籍もかなりの点数にのぼっているようだ。死後50年経っても(またおそらく今後も)真相は闇のまま、人々の関心を集めていくことだろう。

余談ついでに、やはり以前書いたことだがあらためて書くと、anniversary はふつう良い意味に使う日本語の「~周年」「記念日」だけでなく、「ケネディ没後50年」のような内容についても使える。冒頭にあげた Huffington Post のサイトも、次のように始まっている。

- As we approach the 50th anniversary of President John F. Kennedy's assassination we are reminded of his enduring hold on the popular imagination.

(参考記事)
larger than life 「ケタはずれの」「人をひきつける」
「特効薬」あれこれ (magic bullet, silver bullet)
やはり実在した! 秘密軍事基地「エリア51」
anniversary は「記念日」ではない

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