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femme fatale 「魔性の女」「ファム・ファタール」 [単語・表現]

前回、訃報を取り上げた女優ローレン・バコールについて、femme fatale を使っていた記事がいくつかあったので短く書いておきたい。英語でいえば fatal woman、男に破滅をもたらす女という意味で使われる。

「ファム・ファタール」として日本語にもなっているので、こちらの方が通りがいいと思う人もいることだろう。

バコールについての英文記事をいくつか引用しよう。

- Lauren Bacall, femme fatale of Hollywood film noir, dies at age 89 (見出し)

- Lauren Bacall smouldered on our cinema screens portraying a new type of femme fatale - independent, intelligent yet still erotic.
ttp://www.bbc.com/news/entertainment-arts-11521709

綴りからわかるようにフランス語に由来する。同じように上記の film noir も「フィルム・ノワール」としておなじみだろう。

前回書いたように、個人的にローレン・バコールは単純な「あぶない美女」とは思っていないので(もちろん彼女個人のことはわからないので、女優としてのイメージのことだが)、上記BBCの記事にある "a new type of femme fatale - independent, intelligent yet still erotic" のくだりも「なるほど」と思って読んだ。

femme fatale といえば、ずっと前のことだが、何かの翻訳を読んでいたら「運命の女性」とあり、たぶんこの言葉が原語なのだろうと想像した。宿命的な出会いをした女性、ということならわかるが、その小説で描かれていたのは、エンタメ作品にはありがちといえる悪女。そこで、この訳語はちょっと違うのではないか、と感じたのを覚えている。

私が使っている電子辞書の訳語をみると、タイトルにした「魔性の女」のほか、「妖婦」、あるいは「傾城」といった、私には時代を感じさせる訳語を載せているものもあった。どんな言葉をよく使うかは移り変わりがあるだろうが、呼び方は違っても男を狂わす女性はいつの時代にもいるのであろう、・・・というような考えは、男目線の一方的な見方で、愚かな男が勝手に自分の身を滅ぼしているだけなのかもしれない。

ついでだが、「妖婦」といわれたら、私は英語としては femme fatale よりも vamp という単語が頭に浮かぶ。vampire から来ているというから、ちょっとやそっとの肉食系女子では不十分ということか。「やや古」と注をつけている英和辞典もあるので、その点でも「妖婦」と共通したものを感じる。

なお、ローレン・バコールについては、

- Lauren Bacall, Hollywood’s sultry siren, dies at 89

としている見出しもあった。この siren は以前取り上げたことがあるが(→「サイレン」ではない siren)、船人を歌で誘惑して船を難破させたというギリシャ神話の海の精セイレンに由来する「魔性の女」である。

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