SSブログ

loco 「気のふれた(人)」と料理の「ロコモコ」について (刑事コロンボ「闘牛士の栄光」) [刑事コロンボ]

前回はTVドラマ「刑事コロンボ」から occupational hazard について書いたが、この表現が使われたやりとりには直後に loco という言葉が出てくる。それを含めて全体としてユーモアを感じさせる場面となっているので、スラングではあるがこの単語を取り上げてみよう。

「闘牛士の栄光」 A Matter of Honor というエピソードに出てくるそのやりとりを、前回の部分も再度含めて書いてみよう。

- コロンボ: Something is wrong with me. Supposed to be on vacation and right away, I'm thinking like a cop. That's called occupational hazard.
男: Occupational hazard? What is that?
コロンボ: That's when wherever you go, you take your work with you.
男: Oh, I see. We call that loco.

前回書いたように、旅先のメキシコで遭遇した死亡事故の現場で、警察官であるコロンボはつい質問をして回ってしまう。「職業病って奴でね」と言い訳?をするコロンボに対して、質問された男は「俺たちに言わせてもらえば loco だよ」と答えている。

日本語版は表現に節度が求められる公共媒体のテレビであるためか、「マヌケ」としていたが、辞書には俗語で「気の触れた(人)」「狂人」、slang: mentally disordered: crazy, frenzied とある。由来はまさに insane, crazy を意味するスペイン語だという。

オフでも仕事のことが頭から離れないとは、メキシコの人から見れば、職業病というより、気が違っているとしか映らない、ということか。ユーモラスなやりとりになっているが、メキシコ人に対してちょっとステレオタイプ的ではないかな、と思ってしまうのは、私にラテン的気質が足りないためだろう。

loco はこの作品の後の場面でもう一度出てくる。死亡"事故"とみえたのは実は殺人で、犯人は国民的英雄の闘牛士だ、とにらんだコロンボに対し、一緒に行動している現地の警察官は、そんな名士に嫌疑をかけて調べるのは「自分の年金をフイにしかねないことだ」と答える(と言いつつ、ちゃんとコロンボに協力するのは、ステレオタイプ的に描かないようにという配慮だろうか?)。

- You know, a policeman who jeopardizes his pension, he must be loco, right?
(Columbo: A Matter of Honor)

この警察官を演じたペドロ・アルメンダリス・Jr は、前回書いたように007の映画「ロシアより愛をこめて」に登場するトルコの諜報部員を演じた俳優の息子だが(→Try this for size. 「試してみる」)、ネットで調べたら数年前に71歳で亡くなっていたことを知った。「闘牛士の栄光」に出演した時は30代、若々しい姿が見られる。

もうひとつ、この単語で連想したのはハワイ料理の「ロコモコ」 Loco Moco だが、Wikipedia を見たら、まさにこの loco であることがわかった。といってもこの料理がそれを思わせる、というのではなく、

- The dish was reportedly created at the Lincoln Grill restaurants in Hilo, Hawaii in 1949 by its proprietors, Richard Inouye and his wife Nancy, at the request of teenagers from the Lincoln Wreckers Sports club seeking something that differed from a sandwich and inexpensive yet quickly prepared and served.
(中略)
The teenagers named the dish Loco Moco after one of their members whose nickname was "Crazy." Loco was Spanish for crazy. They tacked on "moco" which "rhymed with loco and sounded good".
( http://en.wikipedia.org/wiki/Loco_moco )

ところでスラングは、単語にもよるが、それが"はまる"状況"、また今も「活き」が良いか、あるいはすでに古くなっていないか、などを非ネイティブが知って使いこなすのは相当難しいと思う。それを外すと、こっけいに思われるのはまだましな方で、使った人にとって危険ですらある場合もあるはずだ。

しかし、以前書いたことがあるが、(→「やっぱり単語力だ」 (AERA English特集))(→語彙力なら達人やネイティブに勝てる)、理解できる単語は多ければ多いほど良いと私は思っている。個人的にはスラングにあまり興味はないので意識的に覚えようとはしていないが、それでも知らないよりは知っている方が英語を読み聞く際に有利になるだろう。そんな考えもあって loco を取り上げてみた次第である。

語彙増強ということでもうひとつ、この「闘牛士の栄光」にも出てくる単語だが、剣と布を持って牛にとどめを刺す闘牛士はスペイン語由来の matador だ。日本語でも「マタドール」と言い、アクセントは後ろの「ドール」に置かれると思うが、英語は最初の音節 mat- に強勢がある。

また馬に乗って牛を突いて怒らせ弱らせる副闘牛士は「ピカドール」 picador である。私はこちらの単語をこの名を冠したCDのレーベル名で覚えた(→参考:レコード・CDのレーベル名で英単語を学ぶ

nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:資格・学び

nice! 0

コメント 1

秒速で英会話をマスターする方法

スラングの使いこなしは多分、その土地に住まないと無理なんでしょうね。日本にいてもあまりテレビを見ない人が流行りものとか最新のギャグの話についていけないのと同じじゃないかなって思います。
半年前にすごく流行った流行語を言うだけで「古っ!」って言われる事がありますからね(^^;
私も英会話マスターのブログを書いているので、またお邪魔しますね。
by 秒速で英会話をマスターする方法 (2015-01-30 21:33) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

にほんブログ村 英語ブログへ
にほんブログ村← 参加中です
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...