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Svengali deck 「手品用トランプ」 (Svengali その2~新・刑事コロンボ「汚れた超能力」) [固有名詞にちなむ表現]

最近、固有名詞にからむ表現をいくつか紹介したが、かなり前に取り上げたことがある人名にちなむ単語 Svengali が、休日に観た往年のTVドラマ「刑事コロンボ」の複数のエピソードに立て続けに出てきた。単なる偶然だが、面白いので再度書いてみよう。

初めて取り上げた時は、ビートルズについての本で見つけた実例を紹介したものだったが(→Svengali とは何か)、復習すると、「他人を意のままに操ろうとする人」という意味である。強勢は -ga- にある。

19世紀末に書かれた小説に登場する催眠術を使う音楽家の名前に由来するが、よほど話題になった作品で、印象的な人物だったのだろう。

今回「コロンボ」で気づいた実例だが、ひとつ目は、How to Dial a Murder (邦題「攻撃命令」)というエピソードに使われていた。

- Columbo: Excuse me, sir. Are you Dr. Eric Mason, the mind control doctor?
Mason: Not mind control, life control. There's a difference, Lieutenant. I'm not a Svengali.
Columbo: Oh, I didn't mean to imply, sir. Just last night my wife was talking about your institute. Oh, you're a very famous psychologist, sir. Mrs. Columbo, she's highly enthusiastic about taking one of your 48-hour sessions to study control, sir.

コロンボに mind control doctor と呼ばれたメイソンという心理学者が、むっとして、「mind control ではなく life control だ。私は Svengali じゃない」と断っている。

もうひとつは、番組がいったん打ち切られた後、およそ10年後に復活した新シリーズ(日本語版タイトルは「新・刑事コロンボ」)の第1作(通算では第46作)の Columbo Goes to the Guillotine (邦題「汚れた超能力」)に出てきたものである。

こちらは、マジシャンがトランプを扱っているところを見ている子どもたちが、

- Do the Svengali deck!

とせがむ。これに応じたマジシャンがカードを扱ってみせるシーンが続く。

- Then we do the Svengali deck. Now we have here an ordinary deck of cards. But watch very very carefully. Backs are all the same. Faces are all different...
(中略)
That's called the Svengali deck.
(ibid.)

と締めくくる。deck (トランプの一組のセット)がついているので、Svengali deck としてまとまったトランプの言葉らしいことがうかがえる。

辞書には記載がなかったが、インターネットで調べたら説明が見つかった。手品用トランプの一種だという。さらに、日本語の「スベンガリ・デック」で調べるとかなり多くのヒットがあった。

私はトランプは詳しくないうえ、不器用なので手品などできないので知らなかったが、カードマジックを楽しむ人の間では Svengali deck はポピュラーな存在なのだろう。

Wikipedia の "trick deck" という項目に図といっしょに記述があったので、興味のある方はご覧いただきたい。

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Lingo-Field

興味深いことにブッシュ政権において,あやしい手練手管で悪名を馳せていた策士Karl Roveはpolitical Svengaliと呼ばれていました(時にはRasputinとも言われていたことも。今ではロシアのPutin大統領に使われることが ほとんどですけど)。
また,何度も政治的に危うい場面を乗り切っていた当時のTony Blair英国首相も,劇的な縄抜けの脱出手品で有名だったHoudiniにちなんで,political Houdiniと呼ばれることがありました。

by Lingo-Field (2015-05-11 23:44) 

tempus fugit

Lingo-Field さん、コメントありがとうございました。カール・ローブが Svengali と呼ばれていたことは、私も最初のエントリの中で書きましたが、彼のイメージにぴったりですよね。

奇術師フーディニについては、私も a Houdini といった言い方を何度か英文に目にした記憶がありますが、ブレアについて使われていたことは知りませんでした。教えていただきまして感謝いたします。
by tempus fugit (2015-05-12 22:23) 

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