gremlin 「(機械などの)トラブルの原因」 (映画「トワイライト・ゾーン」) [映画・ドラマと英語]
前回 gizmo という単語について書いた際に触れた映画「グレムリン」で、原題になっている gremlin は宇宙からの生物を指しているが、もともとは飛行機などに不慮の故障をもたらす「小悪魔、小妖精」を意味する名詞だ。こちらを題材にしたのが、同じく1980年代の映画「トワイライト・ゾーン」である。
The Twilight Zone は、もともと1960年代はじめにアメリカで製作されたTVシリーズで、映画はそのリメイクだ。オリジナルのドラマは日本でも「ミステリーゾーン」というタイトルで放送され、幼かった私も何度か観た。といっても具体的な記憶はないが、コワイ思いをしたことだけは今でも覚えている。
gremlin が出てくるのはドラマの Nightmare at 20,000 Feet というエピソードだ。評価が高かったらしく映画版でも使われ、私が最初に観たのは映画の方だった。
旅客機に乗っている男性がふと窓の外に目をやると、翼に怪物がのっかっているのを見つけて驚愕する。しかし他の人には見えず、誰も彼の言うことを信じてくれない。そのうちに怪物は機体を壊し始め・・・という筋書きだ。
このエピソードは Wikipedia で項目になっていて、gremlin を使った次のような記述がある。
- While traveling by airliner, Bob Wilson thinks he sees a gremlin on the wing. Bob tries to alert his wife and the flight crew to the gremlin's presence, but every time someone else looks out of the window, the gremlin leaps out of view, so Bob's claim seems outlandish.
https://en.wikipedia.org/wiki/Nightmare_at_20,000_Feet
辞書を見ると、機械類がうまく動かなかったり故障したりした時、はっきり特定できない原因を指して使うことがわかる。原因がよくわからないトラブルのことだと考えてもいいかもしれない。
- 1.(英話)グレムリン;第二次世界大戦中、エンジンなどに故障を起こさせると飛行士たちに言われた目に見えない小悪魔、姿なき小妖精
2. 困難(問題)の原因(となるもの);トラブルメーカー
(ランダムハウス英和大辞典)
- an imaginary little creature that gets inside things, especially machines, and makes them stop working:
We must have a gremlin in the engine - it isn't working right.
(Cambridge Advanced Learner's Dictionary)
- A gremlin is a tiny imaginary evil spirit that people say is the cause of a problem, especially in a machine, which they cannot explain properly or locate.
The microphones went dead as if the technical gremlins had struck again.
(COBUILD Advanced English Dictionary)
- a cause of error or equipment malfunction (as in aircraft) conceived of as a small mischievous gnome
during the World Wars, fighter pilots adopted the fanciful notion that gremlins were responsible for mechanical failures on their planes
(Merriam-Webster.com)
上記「ランダムハウス」はさらに、
- 1925-30 語源不明;最初の実証例では「厄介な任務を割り当てられた下士官、応募兵」を表す英国空軍用語;後の発展はたぶん goblin との音声的な類似による;一節にはデンマーク語 gaemling 子鬼
と書いている。こうした背景知識については、次のオンライン辞書で英語による説明が読める。
Online Etymology Dictionary
http://www.etymonline.com/index.php?term=gremlin
American Heritage Dictionary
https://www.ahdictionary.com/word/search.html?q=gremlin
映画「グレムリン」を観た時は、ロシアの「クレムリン」そっくりの言葉だな、何でこんな名前をつけたのだろう、と思っただけで、調べようとはしなかった。そのため私が gremlin について知ったのはずっと後になってしまった。ネイティブは題名を見ただけで、人間ではない存在がトラブルを引き起こすストーリーらしいと想像できるのだろう。
さて、TVドラマの「高度2万フィートの悪夢」にはちょっとした思い出がある。学生時代に映画版を観てから長い年月が過ぎ、社会人になって仕事でアメリカに出張した時のことだった。
夜、宿泊したホテルの部屋でテレビのチャンネルを回していたら、偶然、オリジナルの「ミステリーゾーン」をやっていた。先に書いたように幼い時の記憶はもうないので新鮮に感じたうえ、さすが名番組、おもしろい。
夜遅くの放送だったが、毎日ホテルに戻ると観るようにした。そして何日目だったか、「きょうはどんな話だろう」と見始めて驚いた。
昔映画版で観た、飛行機の怪物にまつわるストーリーではないか。つまり映画はドラマ版のリメイクだったのだ。さらに、恐怖に駆られる乗客を演じているのは、私が好きなSFドラマ「スター・トレック」 Star Trek でカーク船長という主人公を演じたウィリアム・シャトナー William Shatner ではないか!
そして出張も終わりに近づいた頃、みやげ物などの買い物をしていて見つけたのが、「高度2万フィートの悪夢」が収録されたシリーズのセルビデオだった。一にも二にもなく買ったのは言うまでもない。
その後DVDの時代となり、「ミステリーゾーン」のシリーズも日本で発売されたが、アメリカで買ったビデオは今でも大事に取ってある。ただ gremlin が悪さをしたのか、VHSプレーヤーの方がうまく動かなくなってしまっている。
思いついてネットを調べると、この作品のさわりがいくつかアップされていてうれしく思った。次のものなど、付加されたBGMがうるさいが、よくまとまっている。
映画とドラマを比較した短いビデオクリップもあった。ホテルでオリジナルを観た時、映画版よりもずっと怖く、ずっと出来がいいのではと感じたものだった。
シャトナーが出ているという”ひいき”もあるかとも思ったが、いまこのクリップを見ても、ノイローゼ一本槍という感のある映画版の役者より、正気か狂気かわからないようなシャトナーの方が、やはりずっとミステリアスだ。
また Youtube には、"Top 10 Best Twilight Zone Episodes" というクリップもあったが、ここでは「2万フィート」が、堂々の1位にになっていた。
https://www.youtube.com/watch?v=daCWbRQfOyc
さらにネットを見ていたら、なんと今月はじめに、「ミステリーゾーン」を含む海外怪奇ドラマのサブカル系”研究書”が出版されたばかりであることを知った。読んでいないので詳しい内容はわからないが、いずれにせよ私は著者や出版社や編集者の知り合いではなく、宣伝しようというのではない。まったくのミステリアスな偶然で、これまた驚いてしまった。
オタク話の締めとしてもうひとつ、「ミステリー・ゾーン」「トワイライト・ゾーン」の幽霊が出てくるようなテーマ曲は、耳にしたことがあるという人も多いはずだ。私が大学生の時には、マンハッタン・トランスファーというグループがこれにもとづいた曲をヒットさせ、印象に残っている。
参考記事:
・spice of life (マンハッタン・トランスファー)
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2007-04-30
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The Twilight Zone は、もともと1960年代はじめにアメリカで製作されたTVシリーズで、映画はそのリメイクだ。オリジナルのドラマは日本でも「ミステリーゾーン」というタイトルで放送され、幼かった私も何度か観た。といっても具体的な記憶はないが、コワイ思いをしたことだけは今でも覚えている。
Twilight Zone: The Complete Series [Blu-ray] [Import]
- 出版社/メーカー: Paramount
- メディア: Blu-ray
gremlin が出てくるのはドラマの Nightmare at 20,000 Feet というエピソードだ。評価が高かったらしく映画版でも使われ、私が最初に観たのは映画の方だった。
旅客機に乗っている男性がふと窓の外に目をやると、翼に怪物がのっかっているのを見つけて驚愕する。しかし他の人には見えず、誰も彼の言うことを信じてくれない。そのうちに怪物は機体を壊し始め・・・という筋書きだ。
このエピソードは Wikipedia で項目になっていて、gremlin を使った次のような記述がある。
- While traveling by airliner, Bob Wilson thinks he sees a gremlin on the wing. Bob tries to alert his wife and the flight crew to the gremlin's presence, but every time someone else looks out of the window, the gremlin leaps out of view, so Bob's claim seems outlandish.
https://en.wikipedia.org/wiki/Nightmare_at_20,000_Feet
辞書を見ると、機械類がうまく動かなかったり故障したりした時、はっきり特定できない原因を指して使うことがわかる。原因がよくわからないトラブルのことだと考えてもいいかもしれない。
- 1.(英話)グレムリン;第二次世界大戦中、エンジンなどに故障を起こさせると飛行士たちに言われた目に見えない小悪魔、姿なき小妖精
2. 困難(問題)の原因(となるもの);トラブルメーカー
(ランダムハウス英和大辞典)
- an imaginary little creature that gets inside things, especially machines, and makes them stop working:
We must have a gremlin in the engine - it isn't working right.
(Cambridge Advanced Learner's Dictionary)
- A gremlin is a tiny imaginary evil spirit that people say is the cause of a problem, especially in a machine, which they cannot explain properly or locate.
The microphones went dead as if the technical gremlins had struck again.
(COBUILD Advanced English Dictionary)
- a cause of error or equipment malfunction (as in aircraft) conceived of as a small mischievous gnome
during the World Wars, fighter pilots adopted the fanciful notion that gremlins were responsible for mechanical failures on their planes
(Merriam-Webster.com)
上記「ランダムハウス」はさらに、
- 1925-30 語源不明;最初の実証例では「厄介な任務を割り当てられた下士官、応募兵」を表す英国空軍用語;後の発展はたぶん goblin との音声的な類似による;一節にはデンマーク語 gaemling 子鬼
と書いている。こうした背景知識については、次のオンライン辞書で英語による説明が読める。
Online Etymology Dictionary
http://www.etymonline.com/index.php?term=gremlin
American Heritage Dictionary
https://www.ahdictionary.com/word/search.html?q=gremlin
映画「グレムリン」を観た時は、ロシアの「クレムリン」そっくりの言葉だな、何でこんな名前をつけたのだろう、と思っただけで、調べようとはしなかった。そのため私が gremlin について知ったのはずっと後になってしまった。ネイティブは題名を見ただけで、人間ではない存在がトラブルを引き起こすストーリーらしいと想像できるのだろう。
さて、TVドラマの「高度2万フィートの悪夢」にはちょっとした思い出がある。学生時代に映画版を観てから長い年月が過ぎ、社会人になって仕事でアメリカに出張した時のことだった。
夜、宿泊したホテルの部屋でテレビのチャンネルを回していたら、偶然、オリジナルの「ミステリーゾーン」をやっていた。先に書いたように幼い時の記憶はもうないので新鮮に感じたうえ、さすが名番組、おもしろい。
夜遅くの放送だったが、毎日ホテルに戻ると観るようにした。そして何日目だったか、「きょうはどんな話だろう」と見始めて驚いた。
昔映画版で観た、飛行機の怪物にまつわるストーリーではないか。つまり映画はドラマ版のリメイクだったのだ。さらに、恐怖に駆られる乗客を演じているのは、私が好きなSFドラマ「スター・トレック」 Star Trek でカーク船長という主人公を演じたウィリアム・シャトナー William Shatner ではないか!
そして出張も終わりに近づいた頃、みやげ物などの買い物をしていて見つけたのが、「高度2万フィートの悪夢」が収録されたシリーズのセルビデオだった。一にも二にもなく買ったのは言うまでもない。
その後DVDの時代となり、「ミステリーゾーン」のシリーズも日本で発売されたが、アメリカで買ったビデオは今でも大事に取ってある。ただ gremlin が悪さをしたのか、VHSプレーヤーの方がうまく動かなくなってしまっている。
思いついてネットを調べると、この作品のさわりがいくつかアップされていてうれしく思った。次のものなど、付加されたBGMがうるさいが、よくまとまっている。
映画とドラマを比較した短いビデオクリップもあった。ホテルでオリジナルを観た時、映画版よりもずっと怖く、ずっと出来がいいのではと感じたものだった。
シャトナーが出ているという”ひいき”もあるかとも思ったが、いまこのクリップを見ても、ノイローゼ一本槍という感のある映画版の役者より、正気か狂気かわからないようなシャトナーの方が、やはりずっとミステリアスだ。
また Youtube には、"Top 10 Best Twilight Zone Episodes" というクリップもあったが、ここでは「2万フィート」が、堂々の1位にになっていた。
https://www.youtube.com/watch?v=daCWbRQfOyc
さらにネットを見ていたら、なんと今月はじめに、「ミステリーゾーン」を含む海外怪奇ドラマのサブカル系”研究書”が出版されたばかりであることを知った。読んでいないので詳しい内容はわからないが、いずれにせよ私は著者や出版社や編集者の知り合いではなく、宣伝しようというのではない。まったくのミステリアスな偶然で、これまた驚いてしまった。
オタク話の締めとしてもうひとつ、「ミステリー・ゾーン」「トワイライト・ゾーン」の幽霊が出てくるようなテーマ曲は、耳にしたことがあるという人も多いはずだ。私が大学生の時には、マンハッタン・トランスファーというグループがこれにもとづいた曲をヒットさせ、印象に残っている。
参考記事:
・spice of life (マンハッタン・トランスファー)
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2007-04-30
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