トランプ大統領の’言いまつがい’で「二重否定」に脚光 [ニュースと英語]
先の米ロ首脳会談をめぐりトランプ大統領が批判を浴びていることにからんで前回 Kompromat という単語を紹介したが、今回あわせて話題となったのは、「二重否定の使い方を間違えた」というトランプの弁明だ。
日本でも報じられたのでご存知の方も多いと思うが、トランプはヘルシンキでの首脳会談で、ロシアによる選挙介入疑惑をプーチンが否定したのを受け入れるような発言をした。
これが「自国の情報機関よりもロシアの大統領を信頼するのか」と非難を浴び、トランプは帰国後、次のように弁明した。
- 「(2016年の大統領選にロシアが干渉したという)情報機関の結論を受け入れている」と述べ、16日の米露首脳会談後の共同記者会見でロシアの関与に疑問を呈した発言を事実上撤回した。米国内での批判を受け、16日の発言が言い間違いだったとして、ロシアの干渉があったとの認識を示した。
トランプ氏は17日の会合で、大統領選への干渉について「『ロシアではない理由が分からない』とすべきだった」と述べ、「ロシアである理由が分からない」としていた16日の発言を修正した。二重否定にすべきだったが、言い間違えたと苦しい釈明をした。
(読売新聞 2018年7月18日)
原語では、共同会見での発言は
- I have President Putin; he just said it's not Russia. I will say this: I don't see any reason why it would be.
のちにそれを撤回したのが、
- In a key sentence in my remarks, I said the word "would" instead of "wouldn't." The sentence should have been: I don't see any reason why I wouldn't -- or why it wouldn't be Russia. (中略) the sentence should have been: I don't see any reason why it wouldn't be Russia. Sort of a double negative.
https://edition.cnn.com/2018/07/17/politics/trump-backtracks-russia-remarks-transcript/index.html
ホントかよ、と思ってしまったが、外国人で非英語ネイティブの私に追究できることは何もない。ただ、「なるほど、やはり二重否定はネイティブでも間違うものなのか」(好意的な見方)、あるいは「なるほど、二重否定はこうした形で言い訳にも使えるのだな」(意地悪な見方)と思ったことは確かだ。
当然のように、米英のマスメディアはこの釈明を大きく取り上げた。意図的に二重否定を使ったおかしな文を書いて揶揄しているものもあって、おもしろい。
そうした例を引用しようかと当初は思っていたが、気楽に楽しめる動画があったので、こちらを紹介したい。CBSの The Late Show with Stephen Colbert が放送したパロディで、いろいろな記事が取り上げていて評判らしい。
以前このブログで、トランプ大統領の平易な英語は非ネイティブの良きお手本になるのではないか、と書いたことがある。そして今回は「二重否定」という、英文法での格好の素材も提供してくれた。一方で、ツイートではおかしな英語も散見される(→例えばこちら)。
そろそろ、「トランプに学ぶ英語」といった本を、どこかの出版社が本腰を入れて作ってくれないかな? まじめな学習書としてだけでなく、反面教師としても役に立ちそうだ。
いや、そんな戯れ言を言っている場合ではなく、「1984年」のオーウェル的世界が、いよいよ現実のものになりつつあると憂慮すべきだろうか?
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日本でも報じられたのでご存知の方も多いと思うが、トランプはヘルシンキでの首脳会談で、ロシアによる選挙介入疑惑をプーチンが否定したのを受け入れるような発言をした。
これが「自国の情報機関よりもロシアの大統領を信頼するのか」と非難を浴び、トランプは帰国後、次のように弁明した。
- 「(2016年の大統領選にロシアが干渉したという)情報機関の結論を受け入れている」と述べ、16日の米露首脳会談後の共同記者会見でロシアの関与に疑問を呈した発言を事実上撤回した。米国内での批判を受け、16日の発言が言い間違いだったとして、ロシアの干渉があったとの認識を示した。
トランプ氏は17日の会合で、大統領選への干渉について「『ロシアではない理由が分からない』とすべきだった」と述べ、「ロシアである理由が分からない」としていた16日の発言を修正した。二重否定にすべきだったが、言い間違えたと苦しい釈明をした。
(読売新聞 2018年7月18日)
原語では、共同会見での発言は
- I have President Putin; he just said it's not Russia. I will say this: I don't see any reason why it would be.
のちにそれを撤回したのが、
- In a key sentence in my remarks, I said the word "would" instead of "wouldn't." The sentence should have been: I don't see any reason why I wouldn't -- or why it wouldn't be Russia. (中略) the sentence should have been: I don't see any reason why it wouldn't be Russia. Sort of a double negative.
https://edition.cnn.com/2018/07/17/politics/trump-backtracks-russia-remarks-transcript/index.html
ホントかよ、と思ってしまったが、外国人で非英語ネイティブの私に追究できることは何もない。ただ、「なるほど、やはり二重否定はネイティブでも間違うものなのか」(好意的な見方)、あるいは「なるほど、二重否定はこうした形で言い訳にも使えるのだな」(意地悪な見方)と思ったことは確かだ。
当然のように、米英のマスメディアはこの釈明を大きく取り上げた。意図的に二重否定を使ったおかしな文を書いて揶揄しているものもあって、おもしろい。
そうした例を引用しようかと当初は思っていたが、気楽に楽しめる動画があったので、こちらを紹介したい。CBSの The Late Show with Stephen Colbert が放送したパロディで、いろいろな記事が取り上げていて評判らしい。
以前このブログで、トランプ大統領の平易な英語は非ネイティブの良きお手本になるのではないか、と書いたことがある。そして今回は「二重否定」という、英文法での格好の素材も提供してくれた。一方で、ツイートではおかしな英語も散見される(→例えばこちら)。
そろそろ、「トランプに学ぶ英語」といった本を、どこかの出版社が本腰を入れて作ってくれないかな? まじめな学習書としてだけでなく、反面教師としても役に立ちそうだ。
いや、そんな戯れ言を言っている場合ではなく、「1984年」のオーウェル的世界が、いよいよ現実のものになりつつあると憂慮すべきだろうか?
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