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scot-free 「無罪放免」 [ニュースと英語]

英誌「エコノミスト」の最近号を読んでいたら、ロシアでの”プリゴジンの乱”について scot-free という単語が使われていたので、タイムリーな実例としてメモしておきたい。

プーチン大統領は、当初「裏切り者は許さない」と激烈な反応を示していたが、急転直下、プリゴジン氏とワグネルのベラルーシ出国を認め、事態は(少なくとも当面は)あっけなく終結した。

The Economist の記事に、次のようなくだりがあった。

- Even more shocking, Mr Prigozhin has exposed Mr Putin as out of touch. The mutiny seems to have taken the Kremlin by surprise—so corroded are the intelligence agencies under the presidency of a former spy. On the morning of June 24th a shaken Mr Putin denounced his creature as a traitor and vowed he would be punished. Yet just hours later, he agreed to let Mr Prigozhin go scot-free to Belarus, taking Wagner troops with him.
("The humbling of Vladimir Putin" The Economist, June 29, 2023)

scot-free は「罪を免れて」「処罰を受けないで」(unpunished)、「害を受けないで」「無事に」(unharmed) という意味である。

自作の英語学習ノートにもいくつかの実例をメモしてあったが、次はそのうちのひとつ、コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」の一作「ボスコム谷の謎」 The Boscombe Valley Mystery についてのコメントである。

- It is inconceivable that a Scotland Yard inspector would let a known murderer off scot free unless he was under direct orders to do so.
("The New Annotated Sherlock Holmes Volume 1" edited by Leslie S. Klinger)

この作品では、事件を担当するレストレード警部は事件の犯人にたやすくたどり着けたはずなのに逮捕していないという不可解な点がある。それについて、「スコットランドヤードの警部(レストレード)が、犯人をつきとめたのに見逃したというのは、そうしろという直接の命令を上から受けたのでなければ、とうてい信じられないことだ」とコメントしているわけである。

これをノートにメモしたのは、私がホームズものを好んでいるほか、Scotland Yard (ロンドン警視庁)と scot-free が一文に出てくるのがおもしろかったのだろうが、そのくせ怠惰な私なので、この scot がどんな意味なのかは調べないままになっていた。

あらためて調べると、ここでの scot は「スコットランド」とはやはり無関係で、「支払い」とか「負担」「税金」を意味する古いイギリス英語だと辞書にある。そこで、「金の支払いを求められない」「税を免れて」ということで scot-free という形が生まれたのあろう。

英語圏の辞書から引用しよう。上記の実例にあった go や let...off のほか、get off, get away といった動詞とともに使われるようである。

- If you say that someone got away scot-free, you are emphasizing that they escaped punishment for something that you believe they should have been punished for.
Others who were guilty were being allowed to get off scot-free.
(Collins COBUILD Advanced Learner’s Dictionary)

- 1. Without having to pay: got away from the restaurant scot-free.
2. Without incurring any penalty or punishment: came away from the incident scot-free.
(American Heritage Dictionary of the English Language)

- completely free from harm, restraint, punishment, or obligation:
The driver of the car escaped from the accident scot-free.
The judge let the defendant off scot-free.
(Dictionary.com)

もともとカネがらみだったらしいが、上記の用例にあるように、今では事故にあって無傷だった場合にも使えるようになっているのもおもしろい。

過去の参考原稿:
marginal note 「欄外の注」 (「詳註版シャーロック・ホームズ全集」

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TM

今回のケース、私自身もEconomistの記事で読んでメモしておりました。おっしゃるように、意味に広がりが出てきているようで、ケガなく、無傷でという意味でも使われているのが面白いです。Economistの記事を検索していたら、だじゃれっぽく記事のタイトルに使われてました。Scott freeとちょっとスペルが違うなと思って読んでみるとJeff Bezosの前の奥さんが財産を気前よく寄付しているというものでした。本来の意味とはまったく関係ありませんが。
https://www.economist.com/united-states/mackenzie-scott-is-shaking-up-the-world-of-giving/21806331

つまらん話で恐縮です。
by TM (2023-07-12 22:30) 

tempus_fugit

TMさん、記事の紹介ありがとうございました。以前触れたことがありますが、The Economistは思わず膝を打つようなタイトルのつけ方があって楽しめますよね。
by tempus_fugit (2023-07-16 19:15) 

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