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昔の「基礎英語」は今より音声面に力を入れていた [英語学習]

5年前の今ごろ、ラジオ講座の「基礎英語」について「初学者に不親切な内容では」と書いたが、その記事を先日お読みいただいた方から「今年の講座にも同じような感想を持った」というコメントが寄せられた(→こちら)。

そこで、今年の4月号テキストを書店で読み、公式サイトでストリーミングも聞いてみたが、確かに5年前と方針に変わりはないように見受けられた。

若いころ、オジサン連中から「昔はよかった」的な話をされると「ウザいなあ」と思ったものだが、私自身がそういうことを言うトシになってしまったのが何とも悲しい。それでも、あらためて「同じ講座名なのに、自分が聞いた時とずいぶん違ってしまったなあ」と思った。

5年前の記事を書いたあと、私が聞いていた時の4月号テキストを見つけることができたので、一部を載せてみたい。40年以上前のテキストは今より小さいA5版で白黒刷りだ。まずは、最初のレッスンである。

nhkkiso1.jpg



ごらんのように、ABC・・・すら出てこない。4月第2週からアルファベットを教えたので、それまでは使わない、ということだったのではと想像する。

一方、写真では見にくいが、発音の仕方が実にていねいに説明されている。カタカナも補助的に使っていて、そうしたやり方には反対もあるだろうが、初めてまともにネイティブの英語を聞く私には、単に「聞こえたとおりにマネしてみましょう」といわれるよりも、すっと助けになった。

次は、4月後半のあるレッスン。bowl と ball と mop に含まれる母音の違いがテーマだ。

nhkkiso2.jpg


このように4月をまるまる使って、日本人が苦手とする母音や子音の識別を中心にした発音のレッスンだけが行われた。第1週のあいさつ表現を除いて出てくるのは単語だけで、”会話の決まり文句”はおろか文そのものがまったく出てこない。

講師(桜美林大学の大野一男教授)は英文学が専攻で音声学の先生ではなかったが、それでも最初にここまで「英語の音」をしっかりと教えていたのである。

次の年、私は「続基礎英語」(当時のタイトル)に進んだ。講師は成城大学の安田一郎教授で、若き日のマーシャ・クラッカワーさんがネイティブスピーカーのアシスタントをつとめていた。

ここでも4月は先を急がずに「基礎英語」(中学1年生)レベルのおさらいにあてられていたが、やはり音声面について1か月のうちの多くのレッスンで扱われた。

次はそのひとつで、同じ文 (What are you doing?) でも、文脈・意味内容の違いによってイントネーションが異なることを折れ線を使って示している。

nhkzokukiso.jpg


今の講座はどうだろうか。5年前もそうだったが、1回目の放送からさまざまな文が出てくる。ストリーミングを聞くと、特に詳しい説明をしないまま講師が「リピートしてみましょう」と指示している。発音以外の面でも、「I'm は I am を縮めたものです」といった説明がある。

確かに「実際に使われる自然な英語」ではあるだろうが、私には初学者を念頭に置いたものとはとても思えない。昔と違って小学校から英語を教えるようになっているので、それを学んだことを前提にしているのだろうか。また今後のレッスンでは詳しい説明が織り込まれていくのかもしれないが、テキストの記述を見る限りそうした配慮は希薄に感じる。

学習開始が早まったことの反映か、今年度から小学生を対象にした「基礎英語0」という新講座ができたことも書店で知った。しかしそのテキストを見たら、いきなり How do you spell your name? と書かれていたので目を剥いた。自分の名前の綴りを通じて ABC を知ってもらおうということだろうが、ちょっと唐突すぎはしまいか。

それでも放送でていねいな説明がされているのなら、と思って初回のレッスンをストリーミングで聞いたが、「英語について小学生からの質問に答える」というショー仕立ての番組になっているので、またも驚いた。これが「基礎」なのだろうか?

5年前にも書いたが、「基礎英語」が昔と違ったスタイルになっているのは、「使える英語を」という近年のコミュニケーション重視の教育方針に沿ったものなのだろう。

しかし、単に「ネイティブの後について聞こえたとおりにリピートしてみましょう」というのでは、スピーキングやリスニングの面では初学者に不親切なだけでなく、効果があがらないか、少なくとも遠回りではないだろうか。

英語は日本語と隔たりが大きいので、小学校高学年にもなれば、実際の音を何度も聞かせることとあわせて、2つの言葉の違いに焦点を当てて具体的に説明することが必要なのではと思う。文法面もしかりである。

それを行っていたのが私が聞いていた頃の「基礎英語」で、学校の授業ではきちんと教わらなかった事柄を補ってくれる心強い存在だった。今は「コミュニケーションの英語」に軸足を移して学校で音声面についてきめ細かく教えるようになったので、「基礎英語」ではもうその必要がなくなった、ということだろうか。とてもそうは思えない。

先日いただいたコメントをきっかけに書き始めたエントリなのでラジオ講座ばかり取り上げたが、私が疑問に思っているのは別にこの講座に限ったものではない。つまり「4技能」とか「話せる英語」と叫ばれている割には、そのための「基礎の基礎」がどれだけ本当にしっかりと教えられているのだろうか、ということに他ならない。

もちろんそうした指導を行っている学校もあるだろうし、それに問題なくついていっている子どももいるだろう。しかし一方で、「英語が嫌いだ」という生徒の割合がむしろ増えているとか、「話す力・書く力」が目標にしていたほどは伸びていない、といった調査結果も目にする。

そうであれば、はたして「コミュニケーション重視」という方向性は本当に望ましいものなのか、さらには、日本人全員が一律にそこまでして英語を学ばなくてはいけないのか、というところまで考える必要が出てきそうである。しかしあまりに話が広がってしまうので、今回はこの程度にしておきたい。

過去の関連記事
・「基礎」とは思えない「基礎英語1」
https://eigo-kobako.blog.ss-blog.jp/2013-04-15


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英語講座のおかげです

しばらく書き込みができませんでした。
ありがとうございます。全くその通りです。私が聞いていた頃の基礎英語は特に最初はこんなにゆっくり進むのかと思うほどでしたし、今回見せていただいて思い出しましたが、最初はとにかく個々の発音もじっくりやっていました。確か土曜日も特に発音をやっていたような気がします。
私は基礎英語は小島義郎先生の初年度、続基礎英語は安田一郎先生の最後の2年間を聞くことができました。さらに英語会話は東後勝明先生と豪華な講師陣で、本当に恵まれていたと思います。
今の基礎英語1はまとまった英文をいきなりリピートさせていて、これでは、まるでかつての英語会話を中1でいきなり聞き始めるのと同じような感じです。
by 英語講座のおかげです (2018-05-19 10:47) 

tempus fugit

私が聞いていた大野先生の次に担当したのが小島先生ですね。たぶん当時の基礎英語は講師が変わっても基本的な方針は定まっていたのではないかと想像しますので、同じように基礎をみっちりと指導していたのでしょうね。

安田先生の「続基礎会話」の名物(?)だった「転換練習」は、手を変え品を変え基礎構文を叩きこむというスタイルで、本当に役立ちました。おかげで、次に私も利用した東後先生の「英語会話」がちょっと物足りなく思えるほどでした(一方で「英語会話」はゲストインタビューの聞き取りが大いに役に立ったので、こちらも感謝感謝ではありますが)。

今となって懐かしい、英語学習初期の思い出です。


by tempus fugit (2018-05-19 20:57) 

ばう

なつかしいテキストですね。私も大野先生の基礎英語を1日も休まずリアルタイムで早朝に聞いていました。

この4月の発音大特訓(?)のおかげで私は、短母音・長母音・二重母音の区別を常に意識して発音する癖が、「一生」つきました。

ところで、中学2年になって聞いた「続基礎英語」は、「Repeat after me.」と言われるわりには、聴取者が発音する時間を与えない、一切 時間的空白を置かないスパルタ教育というか、配慮のない方針で、いやになってすぐやめてしまいました。
by ばう (2021-07-02 16:18) 

tempus_fugit

おお、私と同じ大野先生の基礎英語を聞かれていたのですね。本当によくできた講座だったと思い、今でも感謝しています。

「続基礎英語」については、別の印象をお持ちなのですね。私は上にある別のコメントにも書きましたように「続基礎」にも大感謝で、転換練習や短めのリピートのポーズなど、スパルタ的なやり方にマゾヒスティックな快感を覚えていました。

「続基礎」は、私が聞いた次の年度から放送時間が15分から20分に延長になったことはご存知ですか?そうなってからは、ダイアログの読みのスピードが心持ち遅くなり、リピート練習のポーズも長くなっていたと思います。従来のスピードは放送時間の制約で無理していた面があったのかもしれません。

ばうさんも、この年の講座なら継続できたかもしれませんね。私は2年目も4月と5月は聞いたものの、高校の受験勉強に時間を割くために止め、「英語会話」に絞りました。

もう数十年前の話ですが、どちらも私にとってまさに「基礎」を築いてくれた講座で、感謝してもしきれないと思っています。

by tempus_fugit (2021-07-08 23:15) 

Ponchi

 以前からこちらのサイトを拝見しておりましたが、今年度は下期連続テレビ小説がラジオ英語講座に絡むドラマでもあり、投稿させて頂きました。
 私は今年62歳。基礎英語は1972年度、大野一男先生担当の初年度に聴いておりました。翌年以降と異なり、最初3日間はアルファベットだけで、その後に挨拶と単語による発音特訓が続きました。pin の i を伸ばして発音しても sheep の ee にはならない、というようなかなり事細かい指導方法でした。これまでの歴代基礎英語講師でもここまで徹底的に音声指導を重視していたのは大野先生ではないでしょうか。
 同年から英語会話を担当された東後勝明先生も音声学専攻ということもあり、とりわけ文中のリズムを重視していました。土曜日だけは松本亨先生の対談番組で、解らないなりに聴いておりましたが、松本先生が担当なさった最終年度でした。東後先生は8月だけ一ヶ月間をイギリスシリーズにする等の工夫をしていらっしゃいましたね。
 安田一郎先生担当の続基礎英語はジャン・マケ-レブさんの発音が速く感じましたが、ナチュラルスピードに慣れるという点では大いに役立ちました。15分番組ということもあり、少し慌ただしい感じはしましたが。
 残念ながら、当時の基礎英語・続基礎英語のテキストは処分してしまいました。ただ、1973年度英語会話のテキストだけは1年間12冊全て残してあり、時折見返すこともあります。
 今は番組こそ増えましたが、音声指導という点ではちょっと疑問符がつく講座が多いですね。
 長々と失礼いたしました。


by Ponchi (2021-12-24 17:35) 

tempus_fugit

大野先生の講座を私より少し前に聞いておられたのですね。shipとsheepの母音は長い短いではない、という内容は私の年度でも取り上げられ、よく覚えています。本当にていねいな指導だと思っています。コミュニケーションの英語という割には、こうした「基礎」がないがしろにされているのだとしたら残念ですね。コメントどうもありがとうございました。

by tempus_fugit (2021-12-27 07:59) 

さえぐさかこ

1973年に大野先生の基礎英語で勉強しました。6年生になるので周囲の友人たちが英語塾に行くというので母に自分も行かせてくれと頼みました。母は「友人のお坊ちゃんが中学でたいそう英語の成績が良いそうだからどうやって勉強しているか聞いてみましょう。」と言い、その中学生のお兄さんが家に来てくれて私を本屋さんに連れて行き「毎月新しいテキストを買うんだよ。ラジオは毎日聴くんだよ。」と、基礎英語で勉強することを教えてくれました。そのお兄さんは後に都市銀行のニューヨーク支店に勤務なさったそうです。
私は基礎英語の直前の時間帯が「ラジオそろばん教室」だったので毎日「そろばん教室」をやってから「基礎英語」を聴きました。私の後の職業は外資系で英文経理です。ラジオ講座のそろばんも英語も役に立ちました。
by さえぐさかこ (2023-11-10 22:16) 

tempus_fugit

大野先生の「基礎英語」の思い出、ありがとうございました。先生の講座で英語の基礎を学んだ方のお話をうかがうと「同志」的なつながりを感じて何だか嬉しくなります。
そうそう、「そろばん講座」もありましたね。私は耳にしていただけでしたが、こちらもやっていれば、受験に際し理系から文系に方針転換することもなかったかな?なんて思いました。
by tempus_fugit (2023-11-12 23:34) 

TM

皆さんいろいろ書いておられてうれしくなりました。こういう話題になると、なつかしさがこみ上げてきますね。安田一郎さんなんて、知っているだけでも年がバレます。自分は60年代後半から聞いてましたが、基礎英語、続基礎、その後の英語会話と聞きかじりが多かったですが、松本亨先生の英語会話だけは別でした。今から思うとずいぶん丁寧に教えて下さった。学校の英語クラスとはちょっと違うなというのがそもそもの出発点だったようです。細かい内容を話し出すときりがないですが、英語に対する興味を高めてくれた思い出として大切にしたいです。
by TM (2023-11-14 10:26) 

tempus_fugit

私が「英語会話」を聞き始めた時は東後勝明先生で、前任の松本亨先生はすでに伝説的な存在となっており、その講座の素晴らしさを聞き及ぶ度に、私もぜひ聞いてみたかったと思っていました。どんな内容だったか、ぜひコメントで教えてください。
東後先生は日本人離れした発音に驚きましたが、スキットの内容は(生意気にも)正直いまひとつと感じ、あまり身を入れて聞いていませんでした。
by tempus_fugit (2023-11-16 00:52) 

Ponchi

 約2年前に投稿したPonchiです。
 大野一男先生担当初年度(1972年度)に「基礎英語」を聴いておりました。その後も他の方からの投稿を拝見して大野先生の講座がいかに優れていたことかと実感いたしました。
 さて、前回の投稿で1972年度「英語会話」は土曜日だけ引き続き松本亨先生が担当なさったことをお伝えしました。
 実は大学受験にあたり、松本先生が学長をなさっていた専門学校の大学受験講座を1977~1978年にかけて受講しました。松本先生は既に授業担当からは退いていらっしゃいましたが、時折講演をなさることがあり、2回ほど直に接する機会がありました。残念ながらも、先生は1979年6月に65歳で他界されてしまいましたが…。
 ところで、最近You Tubeに松本先生が通年担当なさっていた1971年7月の講座がUPされていました。既にお聴きになっているかもしれませんが、一応お伝えしておきます。
 
by Ponchi (2023-11-26 20:19) 

tempus_fugit

 さっそく松本先生の講座をネットで聞きました。先生の落ち着いた声と流暢な英語が印象的でしたし、15分の講座はほとんど全編が英語、日本語は少ししか出てこないのも驚きでした。  
 テレビの國弘正雄先生もそうでしたが、当時の「英語会話」レベルの講座では、講師が自分の英語を堂々と視聴者に示していたのですね。
 なお番組最後のアナウンスメントで、先生のお相手のネイティブが「カレン・レイノルズ」さんと紹介されたことも驚きでした。大野先生の「基礎英語」に出演していたKaren Reynoldsさんと同一人物と思われ(なお慣用的に「レイノルズ」とされることが多い名前ですが、「レノルズ」の方が原音に近いですね)、「英語会話」のあと「基礎英語」を担当されたのでしょうね。
 当時の番組音声という貴重な情報を教えていただき、感謝いたします。
by tempus_fugit (2023-11-28 00:08) 

Ponchi

 早速のご返信、ありがとうございます。
 カレン・レイノルズさんは松本亨先生が土曜日だけ担当なさった1972年度もお相手を務めていました。
 東後勝明先生のお相手はジョイス・グリーンウッドさんで、典型的な「米語」を話す方だった記憶があります。日本語とは異なり、英語の「息の強さ」を感じさせる発音で、スキットにご主人様やお子さん方も含めて声の出演をされていました。
 8月のイギリスシリーズではお相手がジョイ・ハリソンさん(ご苗字が正しいかどうか曖昧ですが)でした。
 松本先生はアメリカに留学なさっていましたが、東後先生はイギリスでしたから、イギリス英語に接するよい機会になりました。
 1972年度の「基礎英語」のお相手はメアリー・マクドナルドさんが1年間務め、1973年度は7月までがカレン・レイノルズさん、8月からキャロル・マクレーンさんだったと思います。
ネイティブのお相手が2人になったのは1974年度か1975年度だったような気がします。
 1973年度「続基礎英語」ではジャン・マケーレブさんが体調不良で数日間マーシャ・クラカワ-さんが代理を務めたこともありました。
 「テレビ英語会話」は初級が田崎清忠先生、中級は國弘正雄先生が長く担当していらっしゃいましたね。浅野輔先生が担当なさったこともありましたが、残年ながら、1973年度の1年間だけでした。もう50年も昔の話ですね。
 また投稿させて頂きます。
 長々と失礼いたしました。
 
by Ponchi (2023-11-28 15:38) 

tempus_fugit

 なつかしいネイティブの方々のお名前に久方ぶりに触れることになり、コメントありがとうございました。メアリー・マクドナルドさんを除き、すべて私が聞いていた期間の諸講座でお世話になりました。
 「基礎英語」は、私が聞いていた大野一男先生の次に担当された小島義郎先生の時に、レジナルド・スミスさんと確かスザンヌ・カネミツさんというネイティブ2人に増えたはずです。安田一郎先生の「続基礎英語」は、私が聞いていた時はマケーレブさんとクラカワ―さんの2人体制になっていて、この講座が受講者に強いた口が疲れるほどのリピート練習と「転換練習」で鍛えられたことで、英語力の基礎をつくることができたと思っています。
 また英語講座の音声モデルとして最強だったと私が思うのは、ジョイス・グリーンウッドさんとジョイ・ハリスンさんです。ジョイスさんの明晰な米語発音と美しい声を堪能し、明るくちょっとかわいい声のジョイさんは、英音へのよき入門となりました。
 一方で後年、ジョイスさんのような発音をするネイティブばかりではないという現実に直面し、聞き取り力をつけるには、どこかの段階で教材を離れた「乱取り」に挑戦する必要性も感じました。
 書いていくときりがない、なつかしい初学者時代の思い出です。

by tempus_fugit (2023-11-29 23:43) 

TM

皆さん同窓会的にいろいろ書いていただいて、うれしくなりました。おそらく皆さんより数歳年上であろうと思われるので、私の思い出は少し違うと思います。続基礎英語は安田一郎先生とMax E Rushさんの名前を憶えています。LとRの発音の違いなど、丁寧に教えて下さった。やはり一番鮮明に覚えているのは松本亨先生の英語会話で、1968年に聞き始めました(20年ほど続いた番組の末期です)。この年に一年間続いたストーリーはA year with the Bakersというタイトルで、高校生の加藤ミノル君のBaker先生とその一家とのやり取りがつづられていました。当時ずいぶん難しかった印象でしたが、わからないなりに、結構まじめに勉強しました。ミノル君がアメリカのこと、英語のことを間違えながら学んでいくのが新鮮に聞こえました。翌年の内容は覚えてませんが、1970年(大阪)は最も真面目に聞きました。Nancy and Georgeというストーリーが最も面白くて、一年分暗誦したくらい。これは後でカセットテープの音声付きでテキストが発売されましたね。2年ほど前、定年延長後でしたが、会社の若い人たち向けに英会話のテキストとして使いました。高校生の二人が宗派の壁を乗り越えて家庭を持つまでを描いたものでした。すいません、書き出すとときりがないので、今日はこの辺で。
by TM (2023-12-03 21:37) 

tempus_fugit

 本になった「ナンシーとジョージ」は、私が聞いていた頃の講座テキストに広告がよく載っていて、憧れた教材のひとつでした。講座のストーリーをまるまるカセットつき書籍として放送後ほどなく出版することは当時としては異例だったと思うので、よほど内容の評判と評価が高かったのでしょうね。
 今も持っている当時のテキストのひとつをひっぱり出してみて広告を見たら、その値段は1,500円、ちなみに毎月のテキストは100円の時代で、中学生だった私には手が出ず、放送の講座の視聴を続けました。「英語会話」の講師は東後勝明先生になっていて、日本人離れした発音が評判でしたが、前にも書いたように、毎月のスキットは私にとっては正直つまらない内容で(天国の東後先生すみません!)、中心的に聞く講座は民放の「百万人の英語」に移っていきました。
 少し経って「ナンシーとジョージ」が買えるくらいになった頃には、國弘正雄先生の英語インタビューを収めたカセットを購入したり、ラジオも語学講座を離れてFENを聞いたりするようになっていて、残念ですが松本先生の伝説的教材で学ぶ機会は逸してしまいました。

by tempus_fugit (2023-12-06 23:36) 

小宮芳樹

こんにちは!大変興味あるブログ内容、僕も仲間に入れて下さい!
1977年3月、大野一男先生の最後の講座を聴き、翌4月小島義郎先生の第1声と共に本格的に始めました。一番の違いは、週5レッスンから週4レッスンに移行されたことだと思います。(続基礎英語は前年度1976年度より20分週4レッスン)土曜日の復習は金曜日に代わり、新たに土曜日は前年度迄春に集中的に行われた発音レッスンが、年間通じて行われ、歌も土曜日に移りました。
Practiceも、大野先生は「置き換え練習」が主流でしたが、小島先生は続基礎英語の安田先生の「転換練習」そのものをレベル易しくしながらも、ほぼそのまま採り入れた「文型練習」と「Q&A」に代わり、この年度から基礎英語を始めた者にとっては、続基礎英語迄、中学3年間、ほぼ同じ練習で「音声を通じて」文型を転換し定着させていきました。
大野一男先生、小島義郎先生、そして「続基礎英語」の安田一郎先生、松田徳一郎先生、田辺洋二先生、「ラジオ英語会話」の東後勝明先生、「テレビ英語会話stepⅠ」の小川邦彦先生、更に「テレビドイツ語講座」の小塩節先生、関口一郎先生・・。皆、亡くなられてしまい寂しいです。これらの先生方は間違いなく私の小学校6年〜大学4年卒業迄、影響を与え続けられた先生方でした。
早いもので、もう還暦間近。もう一度初心に戻り、語学の勉強を続けていきたいです。


by 小宮芳樹 (2024-01-21 03:47) 

tempus_fugit

 小島先生の講座はちゃんと聞いていないのですが(独特の聞きやすい声と美しい英語の発音は聞き覚えています)、そうですか、安田先生の方式を取り入れたものだったのですね。さぞ効果的だったと想像します。
 田崎清忠先生の「英語会話初級」が番組改編で「~StepI」になった時の初代講師のひとりが松田徳一郎先生でしたが、番組が文型講座に大転換したのに戸惑いました。松田先生は私にとってはむしろ「リーダーズ英和辞典」の編者という感じです。
 小川邦彦先生は、学生時代に田崎先生の番組制作に関わっていた”お弟子”さんだそうで、田崎初級講座の後継者的な位置づけだったと思われますが、病魔に襲われ早世されたのが何とも惜しまれますね。
 私はドイツ語とフランス語も放送の講座で少しかじりましたが(今はまったく忘れました)、小塩先生は講座内で自分でピアノを弾き深く低い声でリートを歌うなど、何とも個性的で今でも印象深く覚えています。
 その後の講座や講師は私が知らないだけでしょうが、講座名がどれも「~会話」に変わったりして(「英会話」に変わると、私個人は薄っぺらい印象を受けてしまいました)、「基礎英語」の変貌のように、多分より実用的な要素を打ち出していったのではないかと想像しています。
 かつての講座や講師陣を思い起こさせていただいたコメント、どうもありがとうございました。
by tempus_fugit (2024-01-21 11:24) 

小宮芳樹

早速のご返信、ありがとうございます。小島先生の声、とても落ち着いた声でしたが、私は大野先生の声や安田先生の声も印象に残っております。基礎英語では、小島先生の10年後に担当されていた女性講師の仁木久恵先生が、やはり優しい声であった印象が残っております。
田崎清忠先生や國広正雄先生の講座は、残念ながらNHKでは見ることができなかったのですが、その後両先生が「百万人の英語」に移られ、そちらの放送は時々聴いておりました。遠山顕先生、鳥飼久美子先生は、逆に「百万人の英語」からNHKに移られていらっしゃいますね。
田崎先生の講座を知らない自分は、小島先生の基礎英語学習が終わった後、中2進級安田先生の続基礎と同時にstepⅠを学習し始め、杉山隆彦先生と松田徳一郎先生でしたね。そしてMarsha先生、マケーレブさん。Marsha「さん」だった筈なのに、今や聖心の「名誉教授」。やはり努力は人を裏切らない。
あの講座が文型一辺倒であったことに自分は不思議さを感じませんでした。
松田先生のstepⅠから続基礎への異動、そして小川先生のstepⅠ着任は、田崎先生時代からの既定路線だったような感もあるような気がします。
小島先生、そして松田先生は共に研究社の辞書を発行なされていましたね。
そしてドイツ語。専らテレビ講座に頼り、小塩先生、関口先生以外同時期には、早川東三先生、柴田昌治先生、上田浩二先生等が担当されておりました。小塩先生は確かに自ら歌を謳っていらっしゃいましたね。
本当に懐かしいです。
こんな素晴らしい歴史ある「基礎英語」。
もう一度、原点回帰して欲しいと願わざるを得ません。

by 小宮芳樹 (2024-01-22 02:55) 

tempus_fugit

「基礎」と「続基礎」のおかげで文字通りの基礎を築くことができたとすれば、英語の背景知識・雑学や文化的な側面の興味を深めてくれたのが今はなき「百万人の英語」でした。この講座についても書くとキリがないので控えることにします。
 「テレビ英語会話初級」は、メインとしていたラジオ講座のかたわら時おり視聴していただけでしたが、「外国語は楽しく学ぶこともできる」という意外な?ことに気づかされました(ラジオ講座の聴取はやはり「勉強」ではあったので)。田崎先生は毎年のように夏場にカメラと録音機を抱えてアメリカを訪れていて、それが講座にも反映されていました。テキストも、表紙からグラビア、コラムまで、ご自分の撮影した写真が使われていたのがちょっとした驚きでした。文型の大切さは「続基礎」で十二分に認識していましたが、田崎先生の講座はまた違った工夫があったので、「Step I」ではそうした特徴がなくなったのがちょっと残念でした(といいつつ、私は初年度のStep I は前期担当の杉山隆彦先生と後期の松田先生の放送をほぼ全部観ました)。
「中級」と「百万人の英語」の講師だった國弘正雄先生は、ある意味もっとも印象深く、お世話にもなりましたが、お亡くなりになった時にこのブログで長い文を書きましたので、ここでは触れないことにします。
 インターネットなどのおかげで外国語が昔と比較にならないほど身近になった反面、基礎からじっくり教える丁寧な指導が語学講座で消えてきたのでなければいいのだが、と思います。

by tempus_fugit (2024-01-22 23:35) 

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