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飛行機の利用はカッコ悪い~flight shame 「飛び恥」 [辞書に載っていない表現]

気候変動をめぐる小泉進次郎環境相の「セクシー」発言について先日取り上げたが(→こちら)、地球温暖化にからんでおもしろい新語を見つけた。flight shame がそれで、飛行機は温室効果ガスを大量に排出するので利用を控えようという考え方・運動である。

次は、BBCのサイトにあった記事の冒頭部分である。

- Travellers are beginning to turn their backs on air travel over concern for the environment, according to a survey by Swiss bank UBS.

The Swedish concept of "flygskam" or "flight shame" appears to be spreading.

One in five of the people surveyed had cut the number of flights they took over the last year because of the impact on the climate.
("'Flight shame' could halve growth in air traffic" BBC October 2, 2019)

ここにあるように、スウェーデン(語)が発祥のようだ。

そのへんが書かれた記事も見つけた。小泉環境相が参加した今回の国連で、激烈なスピーチをして注目を浴びた16歳の環境活動家トゥーンベリさんについても言及がある。

- Swedish singer Stafan Lindberg coined the term "flygskam," or flight shame, in 2017 when he pledged to give up flying because of the carbon emissions jets produce, worsening climate change.
Teenage environmental activist Greta Thunberg put that principle into action in August when she crossed the Atlantic by yacht to come to New York for the United Nations climate summit.
("'Flight shame' could hurt airlines as travelers shun air travel"CBS News October 3, 2019)

この表現、私は「おもしろい発見だ」と思ったが、ネットで調べると、すでに日本のウェブサイトでも「飛び恥」などの名称で取り上げられていた。知っている人はとっくに知っていて私の方が遅れていたわけだが、新語といえることは確かだろう。「飛び恥」でハッシュタグもできていたので、個人的には何だか妙な日本語だと思いつつも、今後この形で定着していくのかもしれない。

ということで、ウェブの「コトバンク」にあった「知恵蔵mini」による「飛び恥」の説明である。

- 飛行機より環境負荷の少ない鉄道での移動を呼びかける運動。「Flygskam」というスウェーデン語の邦訳。国内での移動などに飛行機ではなく鉄道を利用することで温室効果ガスの排出量を削減し、地球温暖化を防ぐことを目的としている。同国の環境活動家グレタ・トゥーンベリが2018年に提唱し、欧州や米国で広がりを見せている。
(2019-7-23)
https://kotobank.jp/word/%E9%A3%9B%E3%81%B3%E6%81%A5-2119421

あれ?こちらもトゥーンベリさんに触れているが、彼女を提唱者としていて、別の人を挙げている先のCBSの記事と違う。どっちが正しいのか、余裕があったら調べてみたい。

次は Medium というサイトにあった記事で、英語のハッシュタグとして #flyingless と #stayinggrounded が紹介されているが、ネットで調べると、そのままの #flightshame も使われている。

- The word ‘flygskam’ is a recent Swedish neologism. It’s made up of two words: ‘flyg’ which means ‘flight’ and ‘skam’ which means ‘shame’. It encapsulates the feeling of guilt, or shame, which can come from knowing the environmental impact of travelling by plane.
And flygskam is now becoming a global movement, with people pledging to fly less and opting to travel by train instead of plane, using #flyingless or #stayinggrounded to highlight their commitment to plane-free travel.
("‘Flygskam’: The New Swedish Word To Describe The Guilt of Air Travel" Medium, September 5, 2019)

ちなみにこの記事によると、スウェーデン人の飛行機の利用頻度は世界平均の7倍なのだそうだ。

島国の日本人にとって、外国に行くのはどうしても飛行機に頼らざるを得ないだろうから、この「飛ぶのは恥」はちょっと厳しい考え方である。また温暖化対策という大義の一方で、航空会社にとっては経営が苦しくなることを意味するはずだ。理想と現実のギャップは難しいものだと思う。

そう思ったら、オランダのKLMが、鉄道会社と提携して近距離路線の運航を減らす検討を始めることにしたという記事を見つけた。KLMはバイオ燃料や燃費のよい新型機の開発も進めるそうだ。ピンチをチャンスに変えようと、さまざまな対策を考える企業もあるということだろう。

地球の長い歴史から見ると、気候変動はごく当たり前の現象だろうし、人間の活動とは直接の因果関係がないという主張も盛んになされている。しかしそうした因果関係の論議とは離れて、温暖化を助長する恐れのある行為は少しでも控えたほうがいいのでは、というのは、ごく自然な発想であるように思えるのだが。


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Kawada

下のURLの記事を読み、flight-shameというよりはむしろshameの方に重点があるように感じました。“Green with shame”(タイトルの文字数制限によりshameという語にパラフレーズされたか?)というタイトルだからそう思ったのかもしれません。

https://www.google.com/amp/s/amp.economist.com/business/2019/12/12/green-with-shame
by Kawada (2020-05-02 16:30) 

Kawada

参考までにURLを貼ります。

https://www.google.com/amp/s/amp.economist.com/business/2019/12/12/green-with-shame

flight-shameもshameも英米人からしたら同じなのでしょうかね。タイトルにshameとあるのは、タイトルの文字数に制限があるのか、単なるパラフレーズなのかは分かりません。
by Kawada (2020-05-05 12:36) 

tempus_fugit

記事の紹介ありがとうございました。後ほどじっくり読ませていただきます。

by tempus_fugit (2020-05-07 21:37) 

Kawada

記事によっては、このような表現に否定的なものもあるようです。

https://www.google.com/amp/s/amp.economist.com/books-and-arts/2020/01/04/of-train-boasts-plane-shame-and-electric-automobiles
by Kawada (2020-05-08 21:27) 

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