コントレイルと「ひこうき雲」 (contrail) [音楽と英語]
週明けの新聞を開いたら「コントレイル、無敗三冠!」という競馬のニュースが目に飛び込んできた。contrail という単語があり、以前どこかで覚えたはずだが、意味が思い出せない。そこで無駄な抵抗はせず、辞書を引いてみた。
「飛行機雲」とある。そうだ、そうだった。
「ボキャブラリーは多ければ多いほど良く、あの手この手で覚えるべきだ」と過去のエントリで何度か書いた。自分が出会った実例で覚えるべきか単語集を使うべきか、などとあれこれ悩まず、あらゆる機会をとらえて、受け身の単語も使える語句もどんどん増やしていくべきだ、という考えは若い頃から変わらない。
そしてこの単語も、そうした実践例といえるものだ・・・と書くと大げさだが、きっかけとなったのはユーミンこと荒井由実(のち松任谷由実)の名曲「ひこうき雲」である。
デビューアルバムに収められているこのタイトル曲を初めて聞いた時、私はまだ中学生だったが、その独特な声と当時主流だった”フォークソング”とは異なる音楽、そして死の翳りに彩られた歌詞に、静かな衝撃を受けたものだった。
当時すでにユーミンは著名アーティストだったが、私が大学生になった1980年代にはスーパースターとなり、次々に発表される作品は社会現象にもなった。その頃には作風が”いま風”に変化していたこともあり、「ひこうき雲」をはじめとする70年代前半の曲はかえって独自の存在感を持って受けとめられるようになっていたと思う。
さらに月日が経ち、社会人になって何年か経った頃、私は本腰を入れて英語を学び直し始め、疑問に思ったことは極力答えを見つけるようにしようと心がけていた。
ある日、青空に見事な飛行機雲が描かれていくのをぼんやり眺めていたら、”空に憧れて 空を駆けてゆく・・・”という「ひこうき雲」が頭に浮かんだ。それに続いて「そういえば、飛行機雲って英語で何というのだろう?」と思い、辞書を引いて出会ったのが contrail だった。
残念ながら、この単語は私の脳には定着せず、いつしか忘れた形になっていた。そして今回再会するきっかけとなったのが、大空に尾を引いて伸びる飛行機雲や、ユーミンの名曲とは似ても似つかない”競馬”だったので苦笑してしまったのである。
馬にこの名をつけたのはグングンと疾走していくイメージなのだろうか。ちなみに競馬は若い頃ちょっと手を出したことがあるが、あまりに負けが続くのですっぱりとやめてしまった。
contrail は想像できるように、trail 「軌跡」に con- がついたものだが、この前半部分は condensation から来たものだ。これだと「?」となるかもしれないが、「コンデンスミルク」 (英語では condensed milk)ならピンとくるかもしれない。「凝縮」「凝結」ということだが、condensation trail は「飛行機雲」という日本語よりちょっと理屈っぽい(?)感じがする。
なお「ウィキペディア」にあった情報によると、このアルバムの曲はネット配信が始まった際に英語のタイトルがつけられたとのことで、「ひこうき雲」には、contrail ではなく、同じ意味の vapor trail が英題として選ばれている。ひらがなが使われている原題の英語版としてはこちらのほうが似合うし、何となく歌詞の内容にもふさわしいように感じる。
今回は昔の思い出を含めてあまり内容のない話となってしまったが、要は、きっかけは何でもいいので貪欲に単語表現を増やしていくべきということを、自分にあらためて言い聞かせる意味もこめて書いてみた次第である。
ということで、続いて子どもが今はまっている「鬼滅の刃」は、英語ではどんなタイトルがつけられているかを調べてみた。答えは書かないが、皆さんもまずは自分が興味を持ったものを素材に語彙を拡げていってはいかがか。
過去の参考記事:
・「やっぱり単語力だ」 (AERA English特集)
・語彙力なら達人やネイティブに勝てる
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「飛行機雲」とある。そうだ、そうだった。
「ボキャブラリーは多ければ多いほど良く、あの手この手で覚えるべきだ」と過去のエントリで何度か書いた。自分が出会った実例で覚えるべきか単語集を使うべきか、などとあれこれ悩まず、あらゆる機会をとらえて、受け身の単語も使える語句もどんどん増やしていくべきだ、という考えは若い頃から変わらない。
そしてこの単語も、そうした実践例といえるものだ・・・と書くと大げさだが、きっかけとなったのはユーミンこと荒井由実(のち松任谷由実)の名曲「ひこうき雲」である。
デビューアルバムに収められているこのタイトル曲を初めて聞いた時、私はまだ中学生だったが、その独特な声と当時主流だった”フォークソング”とは異なる音楽、そして死の翳りに彩られた歌詞に、静かな衝撃を受けたものだった。
当時すでにユーミンは著名アーティストだったが、私が大学生になった1980年代にはスーパースターとなり、次々に発表される作品は社会現象にもなった。その頃には作風が”いま風”に変化していたこともあり、「ひこうき雲」をはじめとする70年代前半の曲はかえって独自の存在感を持って受けとめられるようになっていたと思う。
さらに月日が経ち、社会人になって何年か経った頃、私は本腰を入れて英語を学び直し始め、疑問に思ったことは極力答えを見つけるようにしようと心がけていた。
ある日、青空に見事な飛行機雲が描かれていくのをぼんやり眺めていたら、”空に憧れて 空を駆けてゆく・・・”という「ひこうき雲」が頭に浮かんだ。それに続いて「そういえば、飛行機雲って英語で何というのだろう?」と思い、辞書を引いて出会ったのが contrail だった。
残念ながら、この単語は私の脳には定着せず、いつしか忘れた形になっていた。そして今回再会するきっかけとなったのが、大空に尾を引いて伸びる飛行機雲や、ユーミンの名曲とは似ても似つかない”競馬”だったので苦笑してしまったのである。
馬にこの名をつけたのはグングンと疾走していくイメージなのだろうか。ちなみに競馬は若い頃ちょっと手を出したことがあるが、あまりに負けが続くのですっぱりとやめてしまった。
contrail は想像できるように、trail 「軌跡」に con- がついたものだが、この前半部分は condensation から来たものだ。これだと「?」となるかもしれないが、「コンデンスミルク」 (英語では condensed milk)ならピンとくるかもしれない。「凝縮」「凝結」ということだが、condensation trail は「飛行機雲」という日本語よりちょっと理屈っぽい(?)感じがする。
なお「ウィキペディア」にあった情報によると、このアルバムの曲はネット配信が始まった際に英語のタイトルがつけられたとのことで、「ひこうき雲」には、contrail ではなく、同じ意味の vapor trail が英題として選ばれている。ひらがなが使われている原題の英語版としてはこちらのほうが似合うし、何となく歌詞の内容にもふさわしいように感じる。
今回は昔の思い出を含めてあまり内容のない話となってしまったが、要は、きっかけは何でもいいので貪欲に単語表現を増やしていくべきということを、自分にあらためて言い聞かせる意味もこめて書いてみた次第である。
ということで、続いて子どもが今はまっている「鬼滅の刃」は、英語ではどんなタイトルがつけられているかを調べてみた。答えは書かないが、皆さんもまずは自分が興味を持ったものを素材に語彙を拡げていってはいかがか。
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