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in Donald Trump's good books 「トランプさんのお気に入り」 (安倍総理、退陣へ) [日本のニュース]

英誌 The Economist の最新号は、病気のため任期途中での退陣を表明した安倍首相を表紙に載せ、leader (社説) や Asia などいくつかのセクションで安倍氏について取り上げている。破格の扱いといって良いのではないかと思う。

abe-economist 2020.jpg辞任のニュースは、他の英語圏のメディアでも大きく扱われていた。外国から見て、日本の政治家としては数少ない-と書かざるを得ないのが残念だが-「顔の見える」指導者だった、ということは確かだろう。

その「エコノミスト」の Asia のセクションにあった記事に、in someone's good books という表現が使われていたので、今回はこれを取り上げたい。

- He faced down the powerful farm lobby and joind the Trans-Pacific Partnership, a big regional trade pact, promoting it even after America pulled out. He inked an Economic Partnership Agreement with the European Union and a bilateral deal with America. That, along with lots of golf and flattery, kept him in Donald Trump's good books. "If not for Abe, we'd be treated like Moon Jae-in or Merkel," says a former adviser.
("Abe Shinzo has left an impressive legacy" The Economist, Sept. 3, 2020)

これは「~に気に入られている」「良い印象を持たれている」という意味で、bad books にすれば「よく思われていない」「嫌われている」ということになる。

英語圏の辞書にある語義や例文によると、イギリスでよく使われる表現ということだ。さらに、「何となく好印象がある」というのではなく、「気に入られるような言動をしたからそうなった」という意味合いが強いようだ。

上記の記事にも "along with lots of golf and flattery" とあるが、「ゴルフや”よいしょ”をして取り入ったので、トランプの覚えがめでたい」とも読めるようなのは意地悪い見方だろうか。

ただ、外交というものはそれぐらいしなくてはダメだ、また安倍氏はそれができるキャラクターだった、ともいえるかもしれない。また、いくらそうやっても気に入ってもらえないことがあるだろうから、やはり安倍氏とトランプ氏はどこか”ウマがあう”ところがあったのだろうと想像する。

- chiefly British, informal
in a state in which one is liked or are treated nicely by someone
He's trying to get back in his boss's good books by offering to work overtime.
(Merriam-Webster)

- BRITISH, INFORMAL
If you are in someone's good books, you have done something that has pleased them.
I never really was that bothered about being in the teacher's good books.
While Becky was out, Jamie made an attempt to get back in her good books by doing all the housework.
(Collins COBUILD Idioms Dictionary)

- be in/get into sb's good/bad books
(informal) have/not have sb's favour or approval
I'm in his bad books at the moment because I accidentally broke the window.
(Oxford Idioms Dictionary for Learners of English)

どうして book が使われるのだろうか、ウェブでじっくり調べれば由来がわかるかもしれないが、その余裕がなかった。この言葉には「記録」とか「帳簿」という意味があるので、それと関係があるのかもしれない。

今回の「エコノミスト」の記事は、基本的に安倍氏を評価する内容となっている。他の英文メディアも、見た限りではそうした論調が強いと感じた。

安倍氏が最初に総理になった時や返り咲いてしばらくの間、外国のメディアは「右派のナショナリスト」として批判的に書いていたと記憶するので、現金なものだなとも思う一方、安倍氏を是々非々の視点から振り返ることができるようになった、というべきなのかもしれない。

個人的には、安倍氏が最初に首相に就任したのは、十数年前にこのブログを始めた直後のことだった。私は特段のファンや支持者というわけではないが(またこの間、首相や政権の交代があったが)、安倍氏をネタにしたエントリも相当な数になった。下記はその一部だが、振り返ると何だか感慨深いものがある。きょうは自民党総裁選だが、ここはやはり「お疲れさまでした」というのがふさわしかろう。

過去の参考記事:
ルーズヴェルト大統領を引用した?安倍総理の記者会見
トランプ大統領に通じなかった安倍首相の "Look at me."
「侵略」と aggression と invasion ~安倍総理の「戦後70年談話」英語版を読む
go through the motions 「形だけですませる」「お義理でする」 (安倍総理の戦後70年談話・その2)
安倍総理のアメリカ議会演説を読んでみた (spend a spell 「時を過ごす」)
TINA = There Is No Alternative (安倍総理のアメリカ議会演説を読む・その2)
What's in a name?~イタかった安倍総理の「バラク」連呼
elbow aside 「押しのける」 (英誌「エコノミスト」の安倍首相特集)
「お友だち内閣」「仲良しクラブ」~安倍首相にちなむ英語表現
職責にしがみつかなかった「美しい国」の総理大臣
気になる安倍総理のカタカナ語


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